山口民医連 学運交シンポジウム「総合診療―コミュニティ・ホスピタルという未来」
では、山口民医連 学運交シンポジウム「総合診療―コミュニティ・ホスピタルという未来」を始めます。
最初に司会として、企画の目的などについて述べておこうと思いますので、しばらくお時間をいただけたら幸いです。
まず総合診療とは何かをご紹介しておかなければなりません。
20世紀の医療は「病院の世紀」とも呼ばれるように、臓器別・疾患別の専門家を集めた病院医療の発展が特徴となりました。今では人口減少の著しい山口県ですが、そこにも1000床近い巨大病院が現れます。
しかし病院医療の中で専門科の間に広がる谷間に落ちて患者にもなれない人が増えたり、患者には成れても一個の人間として全体的にケアされることが失われていくことの弊害が強くなり、その反省として復活/誕生したのが総合診療です。
その最初は1960年ごろのことです。隆盛を極めている病院医療への抵抗の声でもありました。
実は19世紀に、伝統的だった内科に、それまではより低いものとして扱われていた外科と産科を統合して生まれたのが総合診療で、当時としては現代医療の別名だったのです。それが病院医療の隆盛の中で隅に追いやられてしまっていたのですが、家庭医療はその総合診療の復活の際に新鮮味を与えるために生まれた命名ですが、その後のいきさつがあって総合診療という名前に統一されつつあります。
(この変化は日本でというよりも世界的に起こったことで、イギリスやアメリカで先に起こり、かつ典型的でした。したがって、これが日本にそのまま当てはめられないこともあるのをご承知ください。)
総合診療は、どんな話でもまず断らないで引き受けるということが第一の特徴になります。
次に引き受けたら、部分的にではなく全人的に向かい合う、ケアする(世話する)ということが第二の特徴になります。この姿勢は臓器別/疾患別専門医にも必要なことであり、歯科とも共通することですから、医療に普遍的な課題を総合診療が切り開いているとも形容できるものです。
しかし、総合診療の難しさは、まさにこの2点に集まります。
どんな患者も断らずに引き受ける幅広さを医療機関や医師が身につけることは大変な努力を必要とします。そもそもどうして学んでいけばよいのかに悩みます。
ついで、やってくる人を単に患者というだけでなく、この社会で生活している人間として全体的にケアするときのものの見方や考え方です。いまは百家争鳴、多くの人がいろんな説を述べ、それぞれに似通いながら違いを強調するので、みんな混乱しているのが今の特徴です。私も最初は「患者中心の医療」イコール総合診療だと思いこんんでいたのですが、重要ではあっても一つの流派というにとどまるようです。
そういう難しさはあっても、総合診療にどう向き合うかは山口民医連の将来を決めるものになっているのも確かです。1982年に50床の病院を作ったとき、すでに「病院の世紀」の終わりは見えていたのに、最終的には300床以上の病院にしようと言い合っていました。
結局159床になった病院も、いまでは 三分の一づつ一般病床、地域包括ケア病床、療養病床と分け合う形に変わり、今後どういう方向に歩んでいくのかが今持って明確な合意にならず、ある意味、その時々の情勢任せという状態が続いています。
そのなかで、総合診療を強化するということに反対する人は誰もいないでしょうが、総合診療を自分たちの真ん中においてくのか、具体的にはどうすれば強化できるのか、その時の医療観や世界観はどんなものになるのか、病院や診療所の役割はどう変わるのかについてはまだ十分に話し合っていない状態を克服していかないといけないと考えています。
そこで、今日をその第一歩にしたいと思っています。全職員の課題ですから、難しい言葉は使わないで、総合診療と医療の未来、というほどの問題意識で臨みたいと思います。
よろしくお願いします。
最初は上野尚先生に、臓器別/疾患別の専門医の立場からみた総合診療や、それへの接近についての経験を語っていただきます。
ついで松本翔子先生と山本優里先生に、新しい専門医である家庭医療の専門医の立場から、今後の総合診療の展望について、それぞれの立場からお話しいただきます。
続いて下川純希先生に、少し長い時間、美祢市立病院でのコミュティ・ホスピタル建設などの経験を踏まえて、山口県での総合診療を介した医療連携の可能性を語っていただくことにします。
その後しばらく自由討議で、総合診療を要にして、市民の視点で地域医療をどのように作っていけるかどうかを探って行きます。
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コメント
冒頭で総合診療の難しさをアピールして何がしたいのか。しかも長いです。主役は他の方々や聴衆です。成長がなくあきれますが、先生には期待していますので、あえて苦言を書き込ませていただきました。
投稿: 元職員 | 2025年12月11日 (木) 20時23分