ローカル政治新聞寄稿
(架空インタビュー)
―勤務先の病院の経営が好調だとか。いま、全国的な病院団体はかってない経営の危機を訴える声明などを出しているが。
「偶然の要素が大きい。それでも強いて理由を探せば①無料低額診療などで低収入の患者さんを支援して『受診抑制』に抵抗している、②職員全員参加の経営めざしていつも議論しているためか、看護師退職が少なく看護師不足による病床削減をせずに来れた、③少数高齢の医師が無理して安く働いている、それを他職種が必死に支えているということかな」
―全国的な病院団体は経営困難の原因を、物価高騰、賃金上昇、新技術を支えられない低い診療報酬としているが。
「間違ってはいないけど、いくぶん表面的かな。僕が思うに、全国の病院がここまで追い詰められたのは2015年から2025年まで展開された(旧)地域医療構想による。2015年時点で高齢化による患者増加に備えるには30万床分病院を拡張しなくてはならないと計算されていたのに、逆に10年間で4万床減らしてしまった。この病床削減と病床の機能縮小による収入源こそが経営難の本当の原因だと思う。少し詳しく話すと、病床削減は別に行政の命令などではない。主に看護師不足によって病棟維持ができなくなったところに、病床数を減らすと行政から援助金が出るという甘い誘いがかかって実現するわけだ。看護師不足の原因は賃金や待遇の低さが原因になっている」
―でも、病院のベッドが埋まらないことに市立の病院などは困っている。こちらのほうが原因では?
「鋭い指摘だ。無理な病床削減の勢いを超える何かがある。これが『受診抑制』と呼ばれるもの。社会保障費削減で患者の自己負担が増やされ続けていることが大きい。加えて、より大きい要素として国民生活全体の貧窮化がある。」
―貧困や孤独が病気を生むことが世界的に実証されているが。
「そう、だから国民は不健康になりながら受診の機会も奪われるという二重の被害を受けている。若い人は『最低賃金が1500円になったら何をするか』という質問に『医者に行きたい』と答えている」
―最後に。無理して働く医師がとても疲弊しているらしいが
「それはいい考えがない。一緒に患者さんの生活支援をするソーシャル・ワーカーが増えれば、少しは仕事がしやすくなるのだけど」


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