年越し、花見、入院
まだ十円硬貨を積み上げて公衆電話で長い話をしていた頃の年末、坂道を自転車で登っていると、坂の中ほどにある商店の一角にある公衆電話で話している人の話が聞こえてきた。
「今年も正月がなんとか迎えられた。ゴマメも炊くことができたんよ。安心して」と言っているのは60歳代と思える女性だった。十円玉がなくなって、女性は、店先から奥の小路に消えた。
その電話をそばで聞いてしまうと、年末の風景が急に奥行きが深くなった気がした。
4.6の日曜の夕方、自転車で散歩していると、炭鉱住宅街が残ったような古い町なかにある小さな公園で花見をしている人たちを見た。夕日の中に座ってる手話の二人組みを見ると同じような気がした。
4.7の午後、障害のある妻の入院に際して、若い夫が介護の仕方を微細に病棟の看護師に伝えようとしていたその熱心さにも似た気持ちがした。
| 固定リンク
コメント