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2024年7月31日 (水)

2024.7.31 山口民医連理事会挨拶

記録破りの凶暴な猛暑の中、理事会参加ご苦労さまです。情勢は目まぐるしく変わっていて、何を取り上げていいかわからないくらいテーマがあります。
その多くは第一回評議員会の議案に譲りたいと思います。

ここではごく限られたこと、私たち自身が真剣に変わらないと未来がなくなっていることについて触れたいと思います。

その前に、新型コロナは11波と呼ばれる大きな流行を見せています。5類になったのでもう制度的な支援は要求できないという自縄自縛に陥らないことが大切です。患者にとっての治療薬の高さ、引き受ける病院の経営的被害については、緊急に交渉すべきことです。
10月から始まるワクチンについても、分からないこと何多過ぎます自己負担を軽くすることが必要です。これらについては、7月30日のしんぶん赤旗の高山義浩医師インタビューが要領が良いので、資料として添付しました。ざっとで読んでおいて下さい。

そこで、私たちが一人一人が変わらない限り、現状を突破するとができないどう思えることがらを二つ挙げておきたいどう思います。

一つは医師対策です。医学生委員会の報告を読むと、一度でも繋がった学生は結構多い。ステレオタイプな感じだけど社会的関心を示す人もいないわけではない。例えば山口市の「こども明日花プロジェクト」の企画に頻繁に顔を出している人がいます。子ども食堂や無料塾活動の老舗ですね。
そこでこの学生は民医連に親和性が高いと診断されている。ですが、結局は連絡が切れている。

山口市の明日花プロジェクトについては、7月27日に医療生協山口市事務所の企画「山口塾」で、創始者の児玉頼幸さんから話しを聞きました。
最年長の私自身が初耳だったので、職員の皆さんがこれについて詳しく、さっきの学生と深い話ができる見込みはまずないどう思います。
つまり、学生がふつうに持つだろう社会的関心の受け皿に職員がなるというのには、相当掛け離れた実態にあるということです。これで、医学生との交流がどう図れるというのでしょうか。私たちが変わらなければ、と思う第一点はこれです。

第二点目は経営です。全日本民医連第1回評議員会方針においても最大限の強調がなされていました。民医連全体として大きな経営危機か訪れており、山口も例外ではありません。
7月30日の朝会報告に添付されていた退職予定者名簿をみて驚いた人は多いと思います。それぞれの事業所の大黒柱が一斉に途中退職します。壮年の診療所長もその中にいます。
これを見て、県連の崩壊はもう始まっている、それは避けられないと思う人が出てきても不思議ではありません。
危機はすでに現実だと思う必要があります。

こういう時に人は何をすると思いますか。
現実に向かい合わないで、不要不急のルーティン作業に埋没するのです。それで忙しそうにして、部下に向かい合わない。
ルーティンは放っておいてもこれまでとは違うことに挑むべきです。
約3年前に、私は医療生協理事長を辞めることが決まっているときに、地域福祉室の創設に踏み切りました。意義を理解してくれる人はほんの一握りでしたが、専門的で、かつ捨て身のソーシャル・ワークをしないと地域住民の深い支持は獲得できず、今、私たちが目の前に見ているこの危機が避けられないと思ったからです。
それでも危機は来た。それは変え方が足りなかったからです。
破滅的な未来をきちんと予想しながらそうならないための現在にしていく努力が今こそ求められています。
それは職種を超えて共通することもあれば、全く違うこともあります。医師について言えば、最近、藤沼康樹先生が新しい本を書き、日本の家庭医療学のあり方を一変させる問題提起をしました。しかし、医局では、私と私に勧められた藤部先生の二人だけがその本を読んでいるに過ぎません。これでは、医療を変えていくことには遠いものがあります。
患者の要求、地域の要求に徹底的に向かいあって行動するとはどういうことか、みなさん本当は分かってあるはずです。一例としてごく細かいことをいうと、患者送迎は要求に沿っているでしょうか。どうかぜひ行動を始めて下さい。県連を解散するという未来を避けられないものにしないため、今は何をしたらいいのか?

最後に 昨日、働くものの命と健康を守る山口センター(通称労安センター)の理事会で聞いたことを話したいと思います。20年前の1993年度の在籍者数と比べると、特別支援学校または特別支援学級に通う小学校段階の児童は2.1倍、中学校段階の生徒は1.9倍になっています。「通級」といって、籍は普通学級に置きながら、特別支援学級にも顔を出す子どもは25倍です。少子化が目に見えて進む中でこの変化は驚くべきものですが、タブー化されているのか。あまり語られません。
しかし、この現状が到達する未来を見据えて、今をどう変えるがという点では上に述べたことと同じです。
今日は評議員会方針議論が中心ですが、熱心なご議論をよろしくお願いします。

 

*参考に 

基本的に 知的障害・発達障害の発生率の増加と、親の選択と、社会からの排除傾向 


【東野裕治(大阪府立羽曳野支援学校校長、大阪府立たまがわ高等支援学校前校長)】(*1)少なくとも、特別支援教育を受ける子どもは増えています。ご存じの通り、子どもの数は減り続けています。文部科学省の資料(令和3年9月27日「特別支援教育の充実について」)では、義務教育段階の子どもの数は、2009年度に1074万人だったのが、2019年度には973万人。10年間で9.4%の減少です〔取材時(2022年8月)の最新データ〕。
一方で、「特別支援教育」を受ける子どもの数は、同じ時期に25万1000人から48万6000人と、約2倍になっているんです。
【黒坂】発達障害の子どもの場合、普通校で「通級による指導」を受けていたり、支援学級に在籍していたりすることが多いとうかがいました。ただし、知的障害を伴う場合には特別支援学校を選ぶこともある、と。
東野】はい。「通級による指導」や支援学級は、この10年で、それぞれ2倍ほどの人数になりましたが、その内訳を見ると、ADHDや学習障害、ASDが増えているんですね。特別支援学校に通う子どもも10年で1.2倍ほどになりましたが、大きく増えたのは知的障害と自閉症・情緒障害です。ですから、これらの数字だけを見ると、「発達障害の子が増えている」ように見えます。しかし、そう単純に言い切れないと思います。
【黒坂】なぜですか?
【東野】それは、より充実した「教育サービス」を求めて特別支援学校を選ぶ保護者が増えているからです。あとは、やっぱり世間が厳しくなったからだと思います。
【黒坂】世間が厳しくなったというと……。
【東野】昔は「ちょっと変わった子」が周りにいるのは、許容範囲のうちでした。「ダメな子」がいても、ごまめ(小魚を意味する方言)みたいな扱いで、みんな一緒に遊び、育ったものです。大きくなってからも、農作業の手伝いなど、地域のなかで何かしら役割が与えられていたと思います。だから、あまり問題にならなかったのでしょう。
黒坂】なるほど。統計の数字を見るだけではわからないことがありますね。発達障害などを理由に特別支援教育を選ぶ子は統計上、確かに増えている。だからといって、発達障害そのものが増えているとは言い切れない。

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