ル・グウィン「ゲド戦記」
40歳ごろル・グウィンの名高い「ゲド戦記」を買ってみたが、こんなファンタジーを読む暇が俺にあるかという気がして中断していた。高校生の頃にこれを手にとるような優雅な少年時代でもなかった。
その後、大人向けのル・グィンのエッセイ集やSF「闇の左手」を読み終えて、30年後にしてようやく「ゲド戦記」を読みすすめることができるようになった。
これは作者ル・グィンへのレスペクトが僕の中に育ってきたからだろう。
そういうもの頼ることなく作品自体をそのまま受け止める器量はなかったということである。
ただ、マイケル・マーモット「健康格差」の表紙裏の見開きに、マーモットさんが活躍する世界地図を載せようと思ったのは、この本のそこにある「アースーシーの世界」の地図の影響だとはっきりわかった。
p72
「見せかけではなく、本当に物質を変える魔法は、それが本来持っている真の名を変えることであり、どんな一かけらでもそうすれば宇宙そのものを変える。だからその影響がはっきり見極められるまでは、砂粒一つも変えてははならない。あかりを灯すことは闇を生み出すことになる」
ル・グィンが1968年ごろにこれを書いた真意はもちろん核の問題だったのだろ
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