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2024年3月15日 (金)

森鴎外「カズイスチカ」



「マインドフル・プラクティス」の訳者序文で引用されていた森鴎外「カズイスチカ」(症例報告という意味)を青空文庫で読んでみた。読んでいなかったのですか!などと言われるのが怖いが。

例によって言葉が難しい。しかし、鴎外の自験例を並べた後半になるとがぜん面白いので我慢が必要である。

もちろん前半にはマインドフル・プラクティスに関する、父親の思い出やcontemplation瞑想やresignation諦念の事が書いてある。
そこでは、何をしていてもそれがすべて次にすることの準備のようで常に落ち着かない鴎外の自省がとても身近に感じられる。どんな患者もいつか受けるだろう試験の学習材料に見えているようではだめなのである。野球でも「一球入魂」というらしいので誰でも気づいていることかもしれない。

後半で、農家の少年の破傷風を大量のクロラールで治療するという話を読んでいて、そういえば、小児科研修(1977年)で「エスクレ座薬」というのを使っていたということを思い出した。抱水クロラールの製剤でごく初期の抗けいれん剤・鎮静剤である。
1977年は鴎外死後55年だが、何となく同時代人という気がしてきた。
同じく青空文庫で、妹の小金井喜美子「鴎外の思い出」に目を通すと。鴎外は家族からは「林(りん)さん」と呼ばれていたようだ。
なお北海道 空知医師会の方波見康雄さんの以下のエッセイも参考になる。鴎外の父のような石見津和野の僻地の医師もオランダ語のメディカル・エッセイを読んでいたのだ。昔の人のほうが学ぶ意欲が大きかったということか。

http://www.hokkaido.med.or.jp/cmsdesigner/dlfile.php?entryname=medical_report&entryid=00024&fileid=00000499&/1223-10.pdf&disp=inline

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