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2024年2月16日 (金)

ハン・ガン『少年が来る』第4章「鉄と血」

(1)読書会のためハン・ガン『少年が来る』第4章「鉄と血」を読み直してみると、ザワザワと悪寒が来る。
この文章を、さほどの感情の動揺なく平然と朗読できるだろうか。

知らない人のブログを引用:
https://s-taka130922.hatenablog.com/entry/2017/02/19/210849
民主化運動に関わったとして逮捕、拘禁された学生や市民への拷問は、それ以上に苛烈を極めた。ボールペンを指の間に挟んで痛めつける。肉が破れ、指の白い骨が見えるほどに責めつけられる。食事は一握りの飯とわずかに具の浮いた汁と少しばかりのキムチ。その少ない食事をふたりの受刑者が分け合う。高まる飢餓感はやがて、同志であるはずのふたりに互いが猜疑心に満ちた眼で見るように変えていく(「第4章 鉄と血」)。

読みどころはここではなく、章の最後に来る。泣かずに朗読し終えるか心配だ。

 

(2)読書会。いつものように、オーディブルのごとく僕が朗読して行くのだが、ベテランの皆さんだけでなく、新人男性看護師の読みも的確で感心する。
僕が死んだ後、誰かが「すでに随分高齢だった先生が韓国の小説を一冊だけ取り上げて朗読してくれたことが記憶に残っています」と言ってくれる場面をふと想像した。全然高齢じゃないのだが皆さんの記憶の中ではそうなっているわけ。

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