2023.10.25 山口民医連理事会挨拶
ようやく涼しくなったと思うと 夜は10℃未満という寒さにとまどうこの頃ですが、皆様会議参加ご苦労さまです。
10月13・14日は石川県金沢市で全日本民医連の学術運動交流集会があり、山口県連からも県連規模からみると十分に多いと言える8演題が発表されました。演者はもとより関係者の皆さんご苦労さまでした。
私も久しぶりに発表しました。とても風変わりな内容だったので全日本の増田会長も見に来てくれたのですが、ちょうどこのとき、ガザではイスラエル軍が北部からの地上侵攻の準備を進めており、宇部市の1.3倍しかない面積の中に宇部市の13倍の220万人住むガザ北部の100万人以上の人に南部に避難するよう勧告をしていました。しかし北部には合わせて760床という2つの大きな病院があり、そこにいる病人が移動できるはずもないという切迫した事態でした。
考えれば、このときに全日本学術運動交流集会としての緊急決議を提案すべきでしたが、そこまで思いつかず、宇部に帰った夜に、会長に緊急声明を出す必要をメールしました。そして17日には全日本民医連として即時停戦を認める声明が出ました。
その後、ネットのニュースによると、昨日24日、国連ではアメリカのブリンケン国務長官も人道支援のため緊急停戦を提案したようです。怒ったイスラエル大使はグテーレス国連事務総長を「あなたの国連運営は最低だ」などと攻撃し辞任を求めたといいます。世界の声は圧倒的に停戦を求める方向に向かっていますが、全日本民医連がいち早く姿勢を明らかにできたのは良かったと思います。
私の発表について少し触れると、全日本民医連の医療理念の歴史を探る意義を唱えたものですが、とくに2010年の約50年ぶりだった綱領改定の意味を改めて見直して、いま焦点になっている「ケアの倫理」とのつながりを探ろうと考えました。
綱領改定は日本国憲法と民医連の合流という意味合いでした。そういう綱領改定も、「ケアの倫理」による「フェミニズム、共同」の「再発見」も、ともに新自由主義による「福祉国家の否定と労働者階級攻撃」への対抗という目的が両者の底に共通してあります。
そのなかで2010年には「まちづくり」とされていた概念が、いまでは「地域主権」に発展していることも発表を通して見えてきました。今後、さらに深めていきたいと考えています。
全日本民医連学運交発表者の感想は、あとでまた別途お聞きできればいいかと思います。
その他、ここ1ヶ月間に注目したこと2点について触れておきたいと思います。
一つは上関町に中国電力と関西電力の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を作ろうとしている件ですが、10月8日に共産党の笠井亮衆議院議員が山口県に来て講演した記録を読むと、それがどういうものか、より具体的に想像できます。
瀬戸内海国立公園のただなかにある長島という島の標高180メートルの山を崩して、森林を切り払って巨大な建屋を作る。使用済み核燃料は船で運んで来るので、ふもとに巨大クレーンを備えた港を作り、港から建屋までは135トンの荷物を載せられるタイヤ48本の大型トレーラーが行き来する専用道路を結ぶというものです。
なかなか想像しにくいですが、とてつもない自然破壊をおこなうものとわかります。そこで10万年に及ぶ保管を続けるとなれば、どう考えればいいのか、ということです。
もう一つは、滋賀民医連の「医療生協こうせい駅前診療所」の佐々木隆史先生たちが始めた一般社団法人「みどりのドクターズ」の活動です。
気候危機に取り組む医療機関として気候危機の情報発信と、気候危機で損害を被りやすい社会的弱者への対策づくりなど「を掲げています。
食料自給への関わりと同じく、すべての医療機関が取り組むべき普遍的な課題を探るものとして注目しました。山口民医連も近隣の医療機関にこういう趣旨を呼びかけられるといいかと思います。
今日は部会形式となっていますが、熱心なご議論をお願いして挨拶といたします。
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