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2023年6月20日 (火)

今朝は「仁義なき戦い」

主に診療所の医者の処方に見かけることだが、MRの勧める新薬が思慮なく採用され、それで副作用も多いので、それに対抗する薬が処方され、その副作用にまた別の薬が処方されていく、というふうに症状ごとに出される薬が、まるで冬に暖房のない部屋に住んでいる人が着膨れるような姿になっていることが多い。

やはり10枚以上着ると息苦しくもあり、着替えることも減ってくるーこれは僕の中学時代の貧しい下宿生活の経験である。

こういうのを処方カスケードというらしい。

そういう人が救急車で運ばれて、絶食となったついでに持参薬なるものをすべて中止しても何事も起こらないことが圧倒的に多い。
(ただ抗けいれん剤と向精神薬だけは突然の中断とならないようにと注意しているーこれも苦い経験による)

退院のとき持参薬を再開するかどうかだが、僕は心が冷たいのだろう、もとの主治医に僕の書いたこの手紙を見て決めてもらうようにと言って手ぶらで帰す事が多い。『韓非子』にある昭候の故事、あるいは木枯し紋次郎の教えに従っているのである。

しかし、腎障害があって低血糖が深刻なことになるからあなたの処方の経口血糖降下剤はやめるべきだとわざわざ手紙を書いたのに一ヶ月後再び重症の遷延性低血糖で運び込まれることもある。手紙を読まない医者がいるのも確かだ。こういう場合は自分のところに転医させる以外にない。

話がそれた。
実は昨夜は過労で、肩がまさに鉄板のようになって、仕方がないので手元にあったBZ剤を1錠服用して眠った。
起床時の体の痛みはなくなっていたようだが、出勤して例のごとく自分だけ新入院の担当患者が増えてくると、外来診療をしている中で異様に怒りっぽくなっている自分を発見する。いつもは我慢するのに、何故か今日はブレーキが効かない。広島出身者はこういうとき全員が「仁義なき戦い」ふうになってくる。「あんのう、わしにもたまは一発残っとるがのう」という感じ。
こんなことではもう1錠BZが必要かと思いながら、この易怒性が自分の場合BZの副作用だと思いあたった。おそらく血中濃度が低下してくるときに生じる。
つまりBZの副作用に対してBZを服用しようとしたわけである。

これは一人相撲的処方カスケードか?

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