ハンナ・アレント「暗い時代の人々」のローザ・ルクセンブルクの章を再読
どんよりした6月11日日曜日の午後は
雑誌「世界」7月号(ChatGPT特集)、岩波ブックレット「史上最悪の介護保険改定?!」、雑誌「図書」6月号(無料)、NHK100分で名著「ヘーゲル 精神現象学」、「ナオミ・クライン ショック・ドクトリン」と新しいものを机に並べながら、
結局は古いハンナ・アレント「暗い時代の人々」のローザ・ルクセンブルクの章を再読するのに使ってしまった。斎藤幸平「Marx in the Anthropocene」で「Rosa Luxemburg's theory of metabolism and its oblivion」(「ローザ・ルクセンブルクの代謝論とその忘却」を読んだばかりだったからである。
いくつか二項対立で捉えられた面白い視点がある。
1:ローザ・ルクセンブルクと修正主義者ベルンシュタインの共通点は「現実に対して忠実であり、それによってマルクスを批判していた」こと。ベルンシュタインは先進国の労働者階級はマルクスが言うように窮乏化はせず祖国の利益に従属的になったことを重視し、その現実に適応しようとした。ローザ・ルクセンブルクはマルクスが言う歴史上一回きりの略奪による原始的資本蓄積を現実から否定して、植民地を代表とする略奪対象としての外部探しが資本主義の本質で、外部を発見できる限り資本主義は崩壊しないと主張した。
これほど違うのに、現実から考えるという一点で二人は通じるものがあった。
2:ローザ・ルクセンブルクとレーニンの共通した革命論は「組織から行動が生まれてくるのではなく、行動の中からしか役に立つ組織は生まれてこない」ということと「革命は誰かによって作り出されるものでなく、自然発生的に下から勃発するもの。行動の圧力も下から来る。その圧力を見逃すな」ということだった。
3:しかし、ローザ・ルクセンブルクとレーニンの違いは、レーニンが「行動には巨大組織はむしろ邪魔もので、少数精鋭が望ましい。革命を作り出す自然発生的圧力は、それが戦争であっても歓迎する」としたことにある。ローザ・ルクセンブルクは戦争で人間の生命が奪われていくことを受容できなかったし、共和制を否定する一党支配も許さなかった。
ただし、ローザ・ルクセンブルクを徹頭徹尾間違っていたと攻撃したのはレーニン死亡後のソ連の権力者であって、レーニン自体はルクセンブルクの全集出版を要求している。
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