5月の晴れた日に
診察室の外の明るい空を見ていると、(5月だなぁ)という気がしてきて、石原吉郎「ペシミストの勇気」を急に読みたくなり、院内の自分の書棚を急いで往復した。シベリアにもこんな明るい日はあったのだろう。
「昭和二十七年五月、例年のようにメーデーの祝祭を終わったハバロフスク市の第六収容所で、二十五年囚鹿野武一は、とつぜん失語症に陥ったように沈黙し、その数日後に絶食を始めた。」
「人間が自己を最終的に加害者として承認する場所は人間が自己を人間として認識しはじめる場所である」
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