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2023年5月22日 (月)

『南風に乗る』柳広司 小学館、「太平洋食堂」


芸術院会員を含む有名な小説家によるもので、庶民に向かい合う医師の伝記あるいは沖縄問題に正面から挑んだ作品という、どことなく民医連向きの以下の3冊。

『夜明けの雷鳴ー医師高松凌雲』吉村昭 文春文庫、
『許されざる者 』辻原 登 集英社文庫、
『南風に乗る』柳広司 小学館。

だが、この3冊の文章の違いが僕には分からない。のっぺりと同じに見える。人間が立ち上がって来ないと言うか。

3冊とも「どう書くか」ではなくて「何を書くか」が主眼の作品で、満たされるのは断片的知識欲だけという気がする。
もっとも最近の「南風(まぜ)に乗る」は瀬長亀次郎、山之口貘、中野好夫を扱っていて、歴史的事件の事情は整理されるものの沖縄について何かを知る、考えるというものではなかった。
つまりこういう作品を読むことを読書というのかという疑問が残る。

そう言いながら、辻原登「許されざる者」と同じ、大逆事件のでっち上げで殺された和歌山県新宮の創意あふれる医師・大石誠之助を扱っているらしい柳広司「太平洋食堂」を注文した。

テキストの画像のようです

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