台風2号の影響で例年になく早い梅雨入りと水害の心配されるところですが、皆様ご苦労さまです。
数日前、東南アジアも記録的な熱波に襲われているという記事を読みましたが、今年の日本もかってない猛暑になることはほぼ確実と思います。
そのさなか中国電力が6月1日からの26.1%の電気料値上げを決めています。これは猛暑の中の高齢者や生活保護世帯をまさに直撃します。また在宅酸素療法をしている人などは酸素濃縮器を動かすのにかかる電気代がいまでも月1,500円~5,000円かかりますがさらに負担が重くなります。病状が重い人ほど酸素が大量に必要なので負担が増え、治療中断の理由となります。
この電気代のほか住居確保困難、小児虐待の事例が蓄積しているので自治体との緊急の話し合いを県連として準備しようと思っていますが、同様の事例に気づかれた方はぜひご協力をお願いします。
新型コロナは5月8日から全体的な実態が見えにくくなっていますが、いくつかの老人施設ではクラスターが発生している模様です。宇部協立病院でも5月以前はなかった新規の入院受け入れが数件あり、それに関連するかどうかは不明ですが、職員にも散発しており、全体として緩やかに増えている印象です。「コロナはもう終わった」ことにしないで、必要な自治体要求は直ちに行うという姿勢で望んでいきたいと思います。
3月から始動している医療生協健文会「山口市事務所」ですが、6月24日の開所式が決まりました。福祉の拠点を先行させて「医学モデル」よりも「生活モデル」をもって民医連運動を事業所空白地域に広げていくという先進的な試みでありますので、ぜひ成功させたいと思います。
さて、5月19日から21日にかけて開催されたG7広島サミットは、広島の地で核廃絶でなく、逆に核抑止力を肯定することで被爆者を冒涜する結果となり、話し合われた内容は一種の軍事会議になりました。
2022年12月16日にいわゆる「安保3文書」が示され、米軍がどこか他所の土地で攻撃されたとき、あるいは攻撃が準備されたときにも日本側から敵基地にミサイルを先制的に打ち込むことが可能になりました。
その反撃を受けて沖縄+奄美156万人や岩国基地を抱える山口県140万人や首都圏3000万人が大混乱に陥るのは目に見えています。
まさに「日米同盟」の強化こそが国家の最優先目標となり、それが憲法9条や国際法に違反するかどうかの議論にはもはや政府が憲法に縛られる素振りをまったく見せない、議論にも取り合わない、それが世間を騒がせることもないという事態が生まれています。これは2014年7月1日に閣議決定で集団的自衛権行使を容認したことの帰結でもあります。
こういうときに、あくまで憲法を掲げてどういう運動をするか、真剣な議論が必要と思います。
最近読んだものでは5月3日の朝日新聞の蟻川 恒正 日本大学教授インタビューと 雑誌「世界」5月号の青井未帆 学習院大教授の論文「私たちの平和構想力」に注目しました。
ふたりとも同じことを言っています。蟻川さんの話の一部を資料1としています。
憲法に遡る議論は国民の側から投げかける以外にもはやなされることはないという点で、憲法が反故にされているのは間違いがないが、それでも死んだわけではない。憲法9条があることは今後極めて大きな役割を果たしていく。
それは憲法9条がそれ自体が目的というより、そもそも私達一人ひとりの「個人の自由」を守るためにあるものだからです。徴兵検査用の体力検査を受けさせられたり、徴兵されたり、無理やり避難を強いられたり、戦地で殺されたり、自分の土地や建物を軍事目的で接収されたり、日々情勢について議論したり発信することを制限されたりしないために欠かせないものだからです。9条は「個人の自由を下から支える」ためにこそあるものなのです。
すなわち私という「個人」が平和の中で人生を全うする権利は、どんな美名に隠された国家の意図によっても決して妨害されないと皆が考え始めるとき、9条はものすごく強力な足がかりになるからです。こうして個人を当事者として考える「人間の安全保障」を青井美帆さんは、重層的に憲法をも超えていく「私たちの平和構想力」だと言っています。
これについては広島サミットが終わって、ますます戦争に傾いている今こそ考えないといけないことであり、そのため今日は特別に、理事会の日程も変え、山口大教育学部の松原幸恵先生にお願いして憲法と平和についてお聞きします。
そのお話も踏まえて、気候危機、戦争、貧困と格差、いずれも一歩も後退できないこの時期にふさわしい熱心な議論をお願いして、私の挨拶を終わります。
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