川本隆史さんの講演の結論は?
昨夜の川本隆史さんの講演は、聴衆が医療・介護従事者として具体的なケア労働の真ん中にいたとしても、抽象的な「ケアの倫理」に理論的に触れたことのない人には少し難しいものだったかもしれない。
そして核心的主張は、最後に極めて精緻に練り上げられたものとして提示されたので、さらにわかりにくい感じがあったかもしれない。
つまり、「ケアの倫理」には ケアのケアのありかた、背景、目的を示す『ケアリング・デモクラシー・インテグリティ」の3要素がある。
1:ケアリングは能動態(ケアする主体)/受動態(ケアされる客体)の主客二元論ではカバーし切れない中動態〔國分2017〕として存在する。
2:ケアされること、ケアすること双方の脆弱性は誰にでも訪れることであり、その意味でデモクラティックなものである。
デモクラシーが、戦前のアナキスト石川三四郎が言ったように最も小さい者demosの支配cracy 、つまり細民の共生だとすれば、ケアの本質はそういうデモクラシーである。
3:個人のインテグリティとは「他者が触れてはいけないものとしての個人の私的領域の統合」という意味である。それを守ることが実はケアリングが実現すべきことの核である。「あなたのやり方」でということ。
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