患者中心の医療の今
明け方、5人担当している重症急性心不全の患者さんのうち比較的若い人を失った。0度近い気温の中を自転車で帰宅してあまり間もなかったので、当直医に診断書交付など任せた。
20年以上の閉じこもりの二人世帯、80-50問題のさなかにあるだろうお母さんとは一度も会わず仕舞いだった。老いたお母さんがどんな様子であったかは数時間後、深夜勤務明けの看護師に聞くことになった。
厳寒のこの時期、救急車の中で重症心不全が占める割合も増え、病棟診療の負荷も大きくなっている気がするが、自分の加齢などもあって最近こういう不全感の残る終わり方が多い。
医療態勢の崩壊は言われて久しいが、医療の中身、つまり問診・触診・対話・モーニングケアも深刻に失われているのではないか。
患者の実像なしに電カルの上でゲームのように検査と治療が進行していく、ナースと解離して医師がロボット化する事態が進んでいるとも言える。総合診療を掲げながら、患者中心の医療は30年分くらい一気に後退しているのではないか。
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