最も困難な困難な状態におかれている人々の命と人権を守る
2008年の全日本民医連綱領改定案では「日本社会の中で最も困難な困難な状態におかれている人々の命と人権を守るという言葉」が前文の最後にあったのだが、2010年の正式な改定綱領ではその言葉は消えている。議論のただ中にいたはずだがこの経過についての記憶が今定かではない。
・・・とFBに書いたところ、丁寧なコメントがあり、下記のようであったとわかった。
「案は2009年5月以降に変更されています。
『新綱領(草案)では、「働くひとびとの」今日的位置づけ・立場として、32回総会での定義を受け継ぎ、「わたしたちは、日本国憲法の理念を高くかかげ、すべての国民がひとしく人間として尊重される社会の実現をめざします。そのために、日本社会の中でもっとも困難な状態におかれている人びとの命と人権をまもる立場から、医療・社会保障の民主的変革をめざします」という表現としました。すなわち、すべての国民が、差別されることなく基本的人権が保障されること、そのために、この日本社会で一番虐げられ困難な状態に置かれている人びとの立場、視点から社会変革をおこなうことを述べています。
この言葉は、絶対的貧困の増加と格差社会の進行や社会保障の切捨ての中で今日的にも、そのまま残すべきという意見も多く出されました。また、あらためて今日的定義をするのだから、誤解されやすい表現は残さず削除した方が良いのではないかという意見が出されるなどし、繰り返し討論しました。そして、理事会討議の最終到達として、上記のように社会変革の立場を簡潔明瞭に述べることとしました。』」
この言葉はロールズ「正義論」の遠い反映であったことは明らかだが、政治哲学の論議の方向には深まらなかったということだろう。
しかし、この新綱領策定後、最も困難な状態に置かれる人の数も、困難な状況も更に深刻となったので、はたしてこのように案を変更したのが正解だったかかどうかは迷うところである。
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