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2022年9月30日 (金)

深夜の東空

この頃の深夜の東空はひときわ明るい火星とオリオン座のベテルギウスが赤さを競うような豪奢な星空になっている。
一昨日は魅力に溢れた共産党の若手参議院候補者と青年論を話し合い、昨日は県内初の女性大学長と学生の貧困について意見交換して極めて有益だったが、いずれも自分の企画だったので、ずいぶん消耗した。
昨夜は星空を眺めながら、自分で本当にしたかったのはこれらのことではなかったのではないかと思えて来た。
では何であれば満たされるのかというとよく分からない。

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2022.9.28 山口民医連理事会挨拶

2022.9.28 県連理事会挨拶

時間外の理事会ご苦労さまです。

わざわざ時間外というのは、実はSNSで「民医連でも女性の活躍こそが将来を決定する最後に残った資源」という発信をしたところ、大分民医連 けんせい歯科所長の後藤ふさえ先生から「重要な方針を決定する会議が時間外や休日に開かれているかぎり、女性の活躍はありえない」という手厳しいコメントをもらったからです。
大分けんせい歯科は山口民医連から移籍した辛島さんが事務長だったところですが、夜間診療はしないという方針を堅持して歯学部奨学生が順調に増えていることで有名です。
もちろん私達はずっと以前から夜間診療の必要性を認めて実践しているのですが、女性の視点から見てその方針を見直す必要はないのかとあくまで柔軟に考えるべきだと思えました。

より重要なこととして、夜間休日、一部の部署では深夜に及んで会議を開き、方針決定している今のスタイルこそ改めるべきだと今は思います。全日本民医連全体でも考えてほしいことです。評議員会が開かれるのが土日に決まっているのは改めるべきではないでしょうか。

さて昨日は民主的な手続きを無視して国葬が強行されました。マスコミもほぼ公正な報道をしており、来月の臨時国会では真剣な追及がなされると思いますので、ここではこれ以上触れないことにします。

コロナについて9月は2つ大きな事件がありました。9月7日と26日の政府の決定です。
9.26日のしんぶん赤旗に全日本民医連 増田会長インタビューが掲載されていましたので資料としてお配りしています。
7日の決定は、療養期間の短縮です。明らかに感染力が残っている時期に療養期間を終わらせています。26日の決定は全数把握の中止です。64歳以下の人は感染や療養の社会的証明も医学的な保護もなく放り出された事になりました。
これらは医学とは無縁の「政治的な決定だ」と忽那賢志さんも有名なブログで述べています。このあたりのことはみんなでよく考えたいと思います。

そこで、今日の県連理事会のことです。年に10回くらいしかない県連理事会ですから、どの理事会も些末なことは抜きに、本当に私達の将来にとって大事なことだけ議論したいと思います。

私が考える大事なことは三つあります。
一つ目は青年が自分で未来の構想を描き実行できることです。
二つ目は女性職員が男性の意向に不当に従わされることなく正当に権力を持つことです。
三つ目は地域の自立した循環経済に大志を持って加わることです。

そこで会議の持ち方を考え抜いて、異例といえば異例ですが、日本共産党の高知県委員会から松本けんじさんという参議院候補者だった青年活動家にお話と交流をお願いすることにしました。日本共産党の宣伝というのでなく、人口減と高齢化に直面した地域、山口も高知も全国的にそれが飛び抜けて進んだところと思いますが、民医連も共産党も消滅の危機に瀕しているというのは同じなのですが、そこでなんとか未来を青年が切り開こうとしている運動の代表者が松本さんだと思うからです。

松本さんが注目されたのは何と言っても2019年7月の参議院選挙です。ここでは徳島高知を合わせた選挙区で、35歳の松本さんは市民と野党の無所属の統一候補として立候補し、当選した現職の25万3883票に対し、なんとあと一歩の20万1820票を獲得しました。これは全国的な注目の的になりました。
今年6月の参議院選挙では統一ができませんでしたが、それでも現職28万7609票に対し10万3217票を得ました。私が感銘を受けたのは、選挙演説の型にはまらない心溢れる内容です。
説明は短くした方はいいので、ここまでとしますが、民医連の青年が自力で未来を構想し実践していくにはどうしたらいいか、そして私達、年長のものはそれにどう向かい合えばいいのかじっくり語り合いたいと思います。
ではよろしくお願いします。

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大学事情

昨日は山口県立大学を訪問。

旧知の知人である学長に就任祝いを述べながら、医療生協の地域福祉戦略(貧困対策基金、低額住宅貸し付け、山口市事務所新設など)といま充実に努めている無料低額診療について説明した。いずれもまったく初耳だったらしい。

「あぁ、話が見えて来ました。学生の中にも奨学金が親の生活費になって勉学を続けられない人もいます。生活支援は本当に大事です」

これは貴重な情報だった。

関西のいくつかの大学のように学食を貧困対策に使うことを提案すれば良かった。

大阪大学の学食の無料朝食の記事は以下。

https://www.co-media.jp/article/9093?fbclid=IwAR2wscd0fR9i5k_yPuMD7QwLxZaWf1UsRN-bfz40hCu2IqLxDgaT6nN3B3o

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2022年9月25日 (日)

ロールズの「財産所有制民主主義」

「積ん読」を解消する一環として、三連休最後の今日はジョン・ロールズ「公正としての正義 再説」岩波現代文庫2020年を少し読んだ。

すぐに飽きる。

そこで後半の第4部に52章に「マルクスのリベラリズム批判に取り組む」という短い文章があり、ここがこの本への興味を引きつないでくれるものではないかと思い読んでみる。

割と面白い。

関連して検索してみると、比較的最近の以下のような論文にぶつかる。
『ロールズの制度的正義論と労働者管理型企業の位置づけ  大阪大学准教授 遠藤知子』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nenpouseijigaku/71/2/71_2_125/_pdf/-char/ja

簡単に言うとロールズは、資本主義を前提とし再分配政策を中心とする福祉国家を「福祉国家型資本主義(welfare state capitalism)」と呼んで否定した。

それに対置してロールズが主張したのは、市場経済と私的所有が認められた上で、生産手段と労働能力(教育・訓練された技能)を分散させることを通じて人々の対等な地位を保障する「財産所有制民主主義」であり、その現実的な形態としてミルの言った「労働者管理型企業(worker-managed firm)」を重視していることがわかる。

そこからいま日本に広がり始めた労働者協同組合や医療生協のロールズとの接点が見えてくるし、さらに中小規模の協同組合型組織だけの問題ではなく大規模な企業システムを含む経済の中枢への民主的コントロールの制度化も展望できそうである。つまり、今の資本主義をどう変革するかという課題をロールズは論じているのである。

こう考えるとこの本も面白くなりそうだ。

*福祉国家型資本主義は、小さな階層が生産手段をほぼ独占するのを許容するのに対し、財産所有制民主制の背景的制度は富と資本の所有を事前に分散させ、そうすることで、社会の小さな部分が経済を支配したり、また間接的に政治生活までも支配してしまうのを防ぐように働く。
**ロールズが「公正としての正義」を実現する体制とするのが、生産手段の私的所有を認めながらもそれを初期の段階で平等主義的に分散させる財産所有制民主主義、または民主主義と競争的市場を前提に「生産手段が社会によって所有される」リベラルな(民主的)社会主義である。

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2022年9月12日 (月)

雑誌「前衛」10月号 弁護士角田由紀子さんの講演について


雑誌「前衛」10月号 弁護士角田由紀子さんさんの講演について
大事なところはFBの方に書いたが、その続き。
生物学も社会的存在である人々の認識の所産であって、社会に基盤があり、とくに男女の生物学的定義は客観性が疑わしいと角田さんが主張するところは少し危険な感じがある。

簡単に言うと、突き詰めれば男女の性別は人為的、あるいは社会的な分類だという主張になるからである。

医学は男性が作って来た学問で、性差という視点が抜け落ちているため客観性が疑わしいというのは納得できるが、疑わしさを研究で訂正するというのでなく、疑わしいという断罪のままでそれを自然科学一般に拡大すると、真実はどこにもなく、あるのは多様な社会的存在の主観的言説に過ぎないとする相対主義になっていくだろう。自認によって性別は決まるという観念論はその延長線上の隣にある。

人間かどうかも自認で決まるとしたらどうだろう。ナチスのように、人間かどうかを他の人間が主観に基づいて決めるとする主張、つまりユダヤ人や障害者は絶滅する以外に道はないというヒトラーに抵抗できなくなるのではないか。

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