7月のまとめ
2022年7月10日の参議院選挙は新潟で野党統一候補が敗れたのが衝撃的だった。新潟では前年10月31日の衆議院選挙で6選挙区中4つで統一候補が勝利し、それを受けた雑誌「前衛」22年1月号佐々木 寛(市民連合@新潟 )インタビューでは市民連合がボトムアップで政策作成を担い野党を牽引する「新潟モデル」が鮮やかに語られていたからである。
地方自治においても新潟は先駆的なところだった。例えば07年に政令指定都市になった新潟市においては行政区単位の「区自治協議会」が作られた。大合併の上越市では合併前の区域ごとに公募公選方式の28地域自治区が設置された(「日本の科学者」22年5月号 岡田知弘)。私はこれらを知って、地方自治体の最小単位が「基礎自治体」だという従来の定義を超えて、地域自治区や医療生協、消費生協、企業グループなどの相互作用が「基礎自治体」群として自治体のあり方を大きく変える動的な構造を心に描いた。開かれた形態で民主的な運営がなされ非営利指向であれば基礎自治体と呼んでいいのではないか。
しかし、雑誌「民医連医療」22年7月号の岡田知弘さんの連載によると新潟市の自治協議会は相当大きく後退している。類似の浜松市も同様である。
何事も直線的には進まないというが私の今の気持ちだが、明るい話題もある。6月19日に杉並区長に当選した岸本聡子さんの著書「水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと」(集英社新書20年)を読むと、グローバル権力を恐れず「ミュニシパリズム」(市民の直接参加と国際連帯に重点を置く地方自治体運動)を掲げて前進するヨーロッパの実態がよく伝わる。また「前衛」8月号の印鑰(いんやく)智哉さんの「食糧危機のその真相と解決策」を読むと病院や学校も参加する市民参加の「地域食料政策協議会」が提案されている。すでに「気候市民会議」がエネルギーを見据えて世界各所でスタートしている。今後、水・食料、ケア・教育・災害などをともに考える各種市民会議が加わって広範な「基礎自治体」群を形成し、地域循環経済を回す未来が見えてくる。
しかし、考えれば21衆議院選挙も22参議院選挙も終盤は陰惨な暴力に塗れた。それもまた一つの出発点である。
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