これからのまちづくりの二本柱は 中小企業振興基本条例と 仮称「生活保障基本条例」
金曜の午後5時30分は日勤外来担当医としては魔の時間で、それまでいくら暇でも突然に紹介状を携えて発熱入院希望患者が現れる。この時刻からの入院の段取りは心理的にも抵抗が大きい。それにここでほやほやの新入院患者さんの主治医になると土日の自由が事実上なくなる。
5月20日もそうだったので、6時からの非営利協同総合研究所「いのちと暮らし」の理事会出席が億劫になった。
しかし、億劫な時ほど参加すると収穫があるというのは大事な経験則である。
恒例の理事の近況報告では、地域からの生活相談に応じひたすら支援することに特化した地域福祉室を創設し、医療生協組合員の互助活動と一体になって地域に切り込んだら信じられないほどの量と質の困窮事例を発見した、僕自身は理事長の任を降りたら新設の「地域福祉戦略部長」としてそれら事例の教訓を政策化して主として自治体と交渉する予定だという話をした。
すると後藤道夫先生が僕の発言を受けて
「前から言っていることだが、民医連は生活相談窓口を全ての病院で常設すべきだ。労働組合にしてもどんな組織にしても、これまでは別に相談活動をしなくても他に運動課題があって活動が回ったものだが、今は相談活動に熱心に取り組まないと運動体として成り立たなくなっている。
その先のことだが、これまで『新福祉国家構想』とか言っていたのだが、その前に地方自治体を動かすことの重要性を痛感している。つい先日、岡田知弘とも話しあったのだが、全自治体に『生活保障基本条例』を制定させて、たとえば生活支援の国の通知を市民に周知することなど義務づけることを運動にしたい」
と話された。
つまり、相談ー支援専従者と対自治体工作者の設置という僕の方針は後藤道夫先生の構想とほぼ軌を一にしているもので、僕の仕事も、地域循環経済の確立とぶっ飛ぶ前に、「生活保障基本条例」を提案して通すことだなと分かったのである。
やはり億劫な時ほど、外の人と話さなくてはならない。うちに縮こまるには口実には事欠かないのであるが。
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