小病院の外交
2ヶ月くらい前の二次救急で、若い人の虫垂周囲膿瘍~骨盤底膿瘍を、僕の病院の3倍くらい大きい病院の外科に送ろうとしたら、FAXで送った画像を見て「手術の時期は過ぎているのに紹介してくるなんて」と何故かお説教されたうえに断られた。まるで僕の診断が遅れたかのような口振りであった。
自分が主治医となり、強力な抗菌剤使用で事なきを得たが、外科のない病院としてはあまり気持ちの良いものではなかった。
今日の二次救急でも、ほぼ同様のケースがあった。前回の成功例にならって今度も保存治療で行こうかという気持ちも動いたが、本人や家族としては本意ではないだろうと思い直して、今度は別の大きい病院の外科に頼んだ。
またしてもFAXで送った不鮮明なCT画像をもとに、電話口で2ヶ月前の経験を愚痴ると「なるほど。それでうちに頼んでこられたんですか」と引き受けてもらえたので、やはり外科の適応だったのだろう。
患者さんは救急車で来て1時間滞在してまた救急車で去っていった。
大国に挟まれた小国の外交にはこのように積み重ねられた経験に基づく駆け引きが欠かせないのである。
それにしても、いまどきCT画像を電カルのSnippinngToolで切り取りWordに貼り付けて印刷してFAXで送って相談なんてローテクすぎるかも。ただ、電カルのdigitalな情報は絶対にLineなどには持ち出せない。やはり「とねっと」がなくては。
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