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2021年10月15日 (金)

雑誌「世界」11月号 酒井隆史「反平等という想念」


雑誌「世界」11月号 酒井隆史『反平等という想念』を読んでいて驚いたこと。僕たちの平等概念の根源はアメリカ先住民の思想、あるいは存在様式だったのか?

「最近の研究があきらかにしているように、近代の平等の概念そのものが、近代初期にヨーロッパがネイティヴアメリカンによる知的伝統に遭遇し、その革命的インパクトを浴びて動揺」・・・して生まれた。
◯自由民主党の「自由」とは、私有の自由であり所有物を処理する自由である。

それに対して「リベラル平等主義」「自由民主主義」(ユヴァル・ノア・ハラリの翻訳本でもこの言葉は頻出していた)の自由は、隷属からの自由という意味の自由である。

領主の支配を免れた市民の私有の自由は、隷属からの自由のほんの一部に過ぎない。そのほんの一部が倒錯的に残りのすべての自由を抑圧しているのである。

隷属から自由であれば、支配者の庇護は望めないから相互扶助が必須条件になる。

隷属から自由で、相互扶助に依存して生きる者同士は平等である。ここで平等が登場する。

現実には隷属下にある人が支配者に対して平等を望むことから、自由を獲得する。
しかし、その平等は隷属している者同士の平等ではない。

つまり「同一労働同一賃金」という平等要求は、賃金労働者同士の比較に終わるのならなんら自由に至るものではない。だから安倍もしきりにこれを唱えたのである。

隷属からの自由と、

自由であるもの同士の平等な相互扶助という、
本当の自由と平等の概念を、
ヨーロッパ社会はアメリカ先住民から受け取り、
最後には「貧しい未開民の受動的な平等」という偏見に押し込めて圧殺した。

「自由であるもの同士の平等な相互扶助」について思い出すのは、日野秀逸さんが何度も語ったナバホ族の医療、つまり全部族参加の無償な共同の営みとしての医療である。
日野さんのこの語りも、アメリカ先住民の自由と平等からヨーロッパが受けた深い衝撃の遠い谺だったはずである。


マルクスはルイス・ヘンリー・モーガンのイロコイ・インディアン研究『古代社会』を読んで詳細なノートを作成していた。

彼が1883年に死んだあと、エンゲルスはその研究ノートを使って『家族・私有財産・国家の起源』を書いた(1884年)。

 

イロコイ族の作っていた部族国家イロコイ連邦のあり方は建国されたばかりのアメリカの民主主義に影響を与えたらしいことは知っていたが、今日雑誌「世界」11月号の酒井隆史「反平等という想念」を読むまでは

 

エンゲルスのこの有名な本もヨーロッパが平等を徹底したアメリカ先住民社会から受けた巨大な衝撃の一部分に過ぎなかったということに気づかなかった。
◯イロコイ連邦の影響は、大西洋を超えてスイスの連邦制と直接民主主義に影響を与えていた。
今、僕らが参考にしようとするスイスの直接民主主義もスイスの伝統というより、アメリカ先住民の叡智だったのである。
https://www.swissinfo.ch/jpn/直接民主制へ向かう/スイスと米国の民主主義_スイスの連邦制-創設のモデルはインディアン/43643152

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