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2021年9月26日 (日)

ケアの自給について

医療・介護・障害者福祉・保育・ソーシャルワークなどからなるケアの場を可視化し、医療の二次圏域くらいの範囲で水平統合を強め、ケアの質と量、雇用の量と質を合わせて改善し続けるにはどうしたらいいのだろう。
すぐに回答はできないが、その中での協同組合的要素をどう増やすかにかかっているのは確かだ。

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2021年9月24日 (金)

2021.9.25 医療生協健文会理事会挨拶

皆様、せっかくの秋晴れの中をご苦労さまでございます。
コロナ感染の第5波がようやく収まった様に見えますが、首都圏では再びPCR陽性患者を見ることが多くなったという医師の観察も報告されていますので、引き続き警戒が必要と思えます。理事の皆様のご自愛お願いする次第です。

 

先日の台風14号の進路の奇妙さには驚かされましたが、9月17日には宇部市から宇部協立病院に初めて福祉避難所としての具体的な依頼があり、なんとか応えることができました。在宅で人工呼吸器使用中の方が停電を心配されて非常用発電が完備された病院への避難を希望されたものです。実際に避難所として機能するとなるとまだ何も内部的な準備がないと気付かされる良い機会でした。今後の充実を課題にしたいと思います。今度近づく16号は非常に強力そうなのであまりゆっくり構えていられないかもしれませんが。

 

さて9月になってすぐのことですが、1日に経済評論家の内橋克人さんが亡くなりました。内橋さんの理論的遺産はなんと言っても未来の日本の姿として、かっての農漁村が「FEC自給圏」として復活することを示唆したことです。このことは内橋さんの意図を超えて気候危機対策の主流になっています。FEC自給圏の意味することを言葉を変えると「協同組合的地域社会」だということになります。同様のことは斉藤幸平さんなども唱えていることです。
これについては、できれば後でNHKクローズアップ現代プラス「内橋克人 未来への遺言」の一部を見ていただきたいと思いますが、私達がFEC自給圏の中のC =ケアの部分の主力を担うものだということは強調しておきたいと思います。

 

ここでケアというのは医療・介護・保育・障害者福祉などと言い換えてもいいと思うのですが、ケアはもともと地域で自給されているように考えがちなので、改めて唱えられると戸惑いが生じるかもしれません。エネルギーや食糧の自給とは少し勝手が違うと思います。
ここは利用者も提供者も生活が豊かになるケアの実践がケア従事者の雇用を増やし、そのまま地域循環経済を作り出す場面を想像していただければいいかと思います。しかし雇用が増えても営利目的の事業展開だと隠された不幸が積み上がっていくばかりです。さらに首都圏や九州に回復期病院を大量に展開する○樹の会や、巨大介護事業者である創△会のような全国チェーンのケアの場合は、利益は地域外の本部に流れ出し地域経済への貢献もなくなります。
医療福祉生協の事業のように住民が運営に参加することで「ケアの自給」が具体化されるのだと思います。そういう意味で医療福祉生協こそが内橋さんの思いを継ぐものなのだということを改めて申し上げておきます。

 

さて今年度中に、法人全体のソーシャル・ワークを担う地域福祉室を軌道に載せたいと考えている最中なのですが、その理念を表す言葉の一つとして「伴走型支援」というものがあると思います。この概念も年々進化しているものなのですが、今年、北九州の奥田知志牧師と日本福祉大学の原田正樹教授が作った「伴走型支援」という本が有斐閣から出版されています。皆様にもぜひ読んでいただきたいものとしてご紹介しておきます。
この本によると伴走型支援とは、経済的貧困と人間関係の貧困(後者は孤立とも表現されますが)の2つの貧困の双方にかかわっていくものです。
つまり、困難にぶつかっている人を社会福祉の制度につなぐことと、社会そのものにつなぐことの2つを伴走型支援は行います。
社会そのものにつなぐということは、社会自体をつなぐことができるような社会、つまり「ケアする社会」に変えていかなければできることではないという極めて挑戦的な課題を含んでいます。この点こそが医療福祉生協が組合員・職員の総力を上げて取り組むことであり、先程の「ケアの自給」の目指すことだと言えます。ぜひお読みいただいてご理解いただきたいと思います。
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641174665

 

もう一つ重要な文章をご紹介しておきたいと思います。先日、共産党は「グリーン・リカバリー」を唱う2030年までの気候危機対策を発表しましたが、基本的に東北大学教授の明日香壽川さんの主張に依拠したものでした。
その明日香さんのよくまとまった論考が雑誌「前衛」10月号に掲載されていたので、資料として添付しました。明日香さんの主張の中で最も重要なのは、大要、「日本に許された今後のCO2排出総量は9.6ギガトンである。現在1年で1.2ギガトン排出しているので8年で許可量を全部使ってしまう。今から必死で排出を減らす努力をして9年目 2030年には直ちに排出ゼロになるという目標を持つ必要がある」というところです。今の日本政府の目標は2030年の排出量減少が50%に満たないというもので、それも空約束になる可能性が大きいとすれば、目標と現実の間には極めて大きな差があることを改めて自覚しながら運動を進めて行くことが本当に求められているのだと思います。
なお明日香さんは別のところで、太陽光発電はメガソーラーをゼロとして ①10%の建物の屋根の上にパネル設置、②耕作地と耕作放棄地の0.6%でソーラー・シェアリング=営農型太陽発電すれば十分で、これが多くの雇用を発生させ、地域循環経済を8倍近くに拡大させうると述べています。これはメガソーラーによる環境破壊を心配される人には朗報かと思います。

 

*合わせて雑誌「世界」10月号の斉藤幸平さんの文章も添付します。明日香壽川さんに応答した興味あるものです。

 

以上多岐にわたりましたが、今回も熱心な議論をお願いして私の挨拶を終わります。

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2021年9月22日 (水)

私達にはなんの統一戦線が必要なのか


*以前、革新側から山口県知事選挙に立候補したこともある元教員の熊野さんが選挙のための統一戦線の苦労を語っている。
安倍前首相と戦う山口県4区の候補者の擁立の問題。大変だなぁと思う。

 

しかし、いま僕に必要なのはそういう統一戦線ではなく、その基礎となるような、それを一部にするような、生活をまるごとつかむような、事業における統一戦線だ。

 

言ってみれば選挙は機動戦、協同組合的地域社会づくりは陣地戦なのだろうか。
**
政党が直接権力を握るのではなく、その政党も一要素とする多様で市民的な統一戦線が権力を握らなければ未来は開かれないというのは今では常識だ。
 
その統一戦線は、ロシア革命ではトロツキーが指導するペトログラードのソヴィエトがその典型的な1単位だったのだが、周知のようにスターリン主義に敗れてソヴィエトは実態と無関係の国名として残るだけになる。それも1991年には消滅する。
 
今日では「協同組合的地域社会」が統一戦線の単位になるのだろうか。
 
それが樹立されると、国家が市民社会を組織し従わせる現状から、市民社会が国家を改変し包含する未来になる。

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2021年9月21日 (火)

森田成也「ヘゲモニーと永続革命  トロツキー、グラムシ、現代」社会評論社2019年

気候危機を介して資本主義と正面から対峙して、その闘い方を考えるとき、マルクスだけでなく1917ロシア革命前後のレーニン・トロツキーを参照するのは当然のことと思える。
トロツキーについては、1960-70年代のヘルメットをかぶった「トロツキスト」の粗暴な振る舞いによって「正面攻撃が敗北の原因でしかないときの正面攻撃」の煽動者という誤ったイメージが固定している。
しかし、今こそ必要な下からの陣地づくり、そして具体的に「FEC(食糧・エネルギー・ケア)自給圏」の提唱などにも到達している、「多党派と多様性に支えられた民主的自己統治機関」を地域に樹立するためのヒントはトロツキーの中にこそ豊富にあるのである。
かって彼が創造した「ペトログラード・ソヴィエト」こそ民主的自己統治機関の先行形態、あるいは鮮やかなモデルである。
そのようなトロツキーの名誉回復を担う書物、それよりも気候危機を克服する陣地づくりについて考えるための書物として森田成也「ヘゲモニーと永続革命  トロツキー、グラムシ、現代」社会評論社2019年はもっと読まれたほうが良い。
トロツキーと聞いただけで顔をしかめるのは思想上のクリシェ、誤っていて陳腐な習慣でしかない。51znw5xwynl_sx350_bo1204203200_ 

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2021年9月11日 (土)

雑誌「世界」10月号の斉藤幸平「気候崩壊脱成長コミュニズム ポスト資本主義への政治的想像力」と明日香壽川


斉藤幸平『人新世の「資本論」』にきちんと応答した本は明日香壽川「グリーン・ニューディール」岩波新書2021くらいしかないな、そして明日香は斉藤が再生エネルギーや省エネルギーにあまり興味を示さないことに懸念を感じ、気候毛沢東主義をさらっと否定してしまうことについて、そう簡単に否定できるのか、国家の関与は必要ではないのかという疑問を呈していると思っていた。

わずかな読書量で言うことだから当たっていないかもしれないと考えながら。

 

しかし、241827949_4262206033862118_4464101733193 雑誌「世界」10月号の斉藤幸平「気候崩壊脱成長コミュニズム ポスト資本主義への政治的想像力」

はまさに明日香壽川の懸念や疑問に対する応答のように思えた。

 

斉藤は再エネ、省エネの重要さを認め、明日香の言うような市民運動が気候危機対策において国家を強制する事態は絶対必要で、それは国家が合意なしに市民を強制する気候毛沢東主義とは真逆のことで、むしろ脱成長コミュニズムの一環だとして、明日香との違いはないことを明言している。

 

ここに世代間の建設的な議論のあることを感じる。

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2021年9月 6日 (月)

グリーン・ニューディールとグリーン・ディスカバリー

ーグリーン・ニューディールはよく知られているし、それを巡る論争も想定している。
だが、グリーン・リカバリーとは何か?という気がしたのだが、検索してみるとこれは新型コロナに絡む用語だった。

振り返ると、雑誌「世界」2020年8月号は「グリーン・リカバリー」の特集だった。
つまり新型コロナによって生じた不況・経済活動の停滞からの復興を環境本位にやっていこう、ということで、結局はグリーン・ニュー・ディールでしかありえない。

ところでグリーン・ニューディールに想定される論争とは、以下のどれが正しいのかということである。
①経済的成長を維持しながら気候危機対策も可能にする資本主義
②経済成長を脱することによって気候危機を可能にする資本主義
③脱成長・コミュニズム

①は最も幻想に近く、結局、気候危機を拱手傍観して全員自滅する。

②も詭弁に近い。成長がない資本主義のもとでは、今の日本のように賃金引き下げや格差が大規模化するのは必須だ。これも地獄に近い。金持ちだけが救済される気候危機対策になるだろう。支配層としては、それもまた人口減を促進してより一歩解決に近づくと嘯くのかもしれない。

③は唯一の希望と思えるが、それを担う政治勢力をこれから作っていく難事業が待ち構えている。それもあって僕は最近ずっとレーニン関連の本を読んでいるわけである。的外れかもしれないが。

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斉藤幸平vs明日香壽川

斉藤幸平さんは『人新世の「資本論」』のなかで、国家主義的に上から気候危機を解決しようとする「気候毛沢東主義」をさらっと否定している。

それについて明日香壽川さんは岩波新書『グリーン・ニューディール』のなかで疑問を呈している。国家による罰則付きの強制なくして気候危機は解決するのか。

ここにはなにか議論のすれ違いがある。

「気候毛沢東主義」というあまり社会科学的でもない用語は、実は現在の中国式の解決方法を指しているのだろう。再生可能エネルギーの開発を国家戦略として覇権の道具にしようとする行き方である。
これには凄惨な管理社会、あるいは第三次世界大戦に世界を導く別の大きな危険がある。だから、この道は選んではいけないのだろう。

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2021年9月 4日 (土)

土曜日には自分で自分の首を絞める

土曜日パート医師の就業前PCR検査がエラーということで、早々と長時間の交代当直勤務に就いた。いつPCR陰性という結果が出て解放されるのか?

元はと言えば、自分が提案して決めたことなので、自分で自分の首を絞める結果になった。

しかし、こういう不測事態に病院各部署が反応しないという機能不全も発見できたので、それはよしとしよう。待機の医師を呼び出す理由が、大学病院患者転送という患者都合でも、当直医師の健康不良などの医師都合でも、なすべきことは全く同じなのに、PCRエラーという慣れない理由だと当直医師交代というスイッチが入らないのは、あまりに頭が固いのではないか?

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金曜日の夜

気持ちの荒れる金曜日の黄昏時

だいたい金曜日の夕方遅くの外来は、圏域内で頼る先を失った開業医と患者の駆け込み寺である。
何軒もの病院に断られた挙句、午後5時45分に依頼の電話してくるなら、なぜ僕を第一選択にしないのかと思う。こちらを三流病院だと馬鹿にしているな。
それはいつものことだし、加えて今日はそういう困難ケースが苦手なパートの夜勤当直医だったので、結局僕が3時間残業して入院させた。それから病棟回診である。

ついでに言えば、同僚が投げ出して帰った患者の受け皿でもある。なぜ自分の今日の仕事のけりをつけないで、より過酷な仕事をしている他人にパスして帰宅できるのか不思議なのだが。

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2021年9月 2日 (木)

「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」2021.9.1


ふだん僕が話していることを書き取ったような「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」2021.9.1をしんぶん「赤旗」で読む。(冗談です)

 

おおよそ明日香壽川さん(東北大)の主張に沿っている。彼の著書 岩波新書「グリーン・ニューディール」などと同じ。彼も加わる「未来のためのエネルギー転換研究グループ」の「レポート2030」が肯定的に多く引用されてもいる。

 

ただ、変えなければいけない相手を資本主義そのものでなく、その一つである新自由主義だとし「経済成長と脱炭素化を同時に進めるグリーン・リカバリー」を方針として選択して、脱成長・脱資本主義としなかった理由は明確ではない。

 

Friday For Future という若者の運動への言及はあるが、より本格的な運動Extinction Rebellion(略称XR)=「絶滅への反乱」には触れていない。

 

「2030戦略」だから限定的な提案になるということかもしれない。

 

資本主義が人間の生存する自然環境を破壊して生じたのが気候危機と新たな大規模感染症、人間の生活する社会環境を破壊して生じたのが格差・貧困問題という二つの(相互に影響する)危機的状況と言えるから、それは資本主義自体を廃止しないでは解決しない。その一里塚としては、この提案は有効だろう。

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