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2020年1月24日 (金)

2020/1/25  医療生協理事会挨拶 

     
改めましてあけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。現理事会の任期もあと約半年になりましたので、しっかりと理事会としての実りを示すための半年にして参りたいと思います。
年の初めなので、今の医療介護情勢の特徴的なことに簡単に触れておきたいと思います。
医療と介護を合わせて「地域包括ケア」というものを作り出そうというのが国の長期方針ですが、それは一般に下の「植木鉢モデル」で示されています。
医療・介護を受ける本人と家族の自己責任を出発にしている点に批判が集まっているものです。
しかし、これは「地域包括ケア」のごく一面にすぎません。
全体像は4統合とよばれるもっと大規模な構想です。
それを私が個人的に作成した図が資料1です。
 
大学病院から町の開業医まで、医療機関のヒエラルヒーを作るものが垂直統合です。昨年秋から、公立病院、公的病院の再編統合を目指す動きが急になり、これは民間病院を巻き込んで、急速な動きを見せています(資料2)。
山口県でもすでに萩市民病院と民間の都志見病院の統合が発表されています。さらに、旧豊北町唯一の病院だった豊北病院の自壊というべき崩壊が報道されています(資料3)。
宇部協立病院も、この渦の中に巻き込まれていくことは間違いありません。
 
言ってみれば、鳴門の大渦の中を伝馬船で渡っていくようなものですので、理事会の舵取りの責任は極めて大きくなると思います。
 
住民生活の平面で起こることは水平統合とされています。しかし、これは平和な「ケア会議の開催、医療と福祉の連携」などという言葉で表されるようなものでないことがだんだんと見えてきました。大きな流れは介護保険の縮小です。そこで何が起きているか。その資料が資料4です。
 
2019年の参議院選挙で、大阪の博心会という医療法人の職員名簿600人分が職員に無断で持ち出され公明党に渡され、公明党の議員秘書や支援者が職員の自宅を訪れ始めるという事件があり、職員が抗議をすると、介護制度を良くするためにやったことだと居直り、それでは職員が納得しないと見るや一人1万円で手が打てないかと言い出したので裁判になったという話です。
 
この事件をよく見る博心会は2018年という最近、ヒューマンサポートという株式会社に買収されて、事件はこのヒューマンサポート側の主導で起こったことがわかります。この会社は介護事業所を次々と買収して拡大している会社で、おそらく公明党と深いパイプがある。顧問には警視庁の高官が天下りしています。
ヒューマンサポートの他の事業所で同様の無断個人情報提供が行われていないか心配になりますが、それよりむしろ、この会社の社長が「全国介護事業者政治連盟」の代表になっているということです。政権党と大手介護事業が癒着して、介護保険の縮小、保険外部分のサービス拡大で利益を上げているという想像は容易にできることです。
 
水平統合の中枢が政権党と癒着した大手事業所で独占されつつあるというのは、別の法人の急成長例でもわかります。(資料5)
 
垂直統合部分でも水平統合部分でもこのように大きな変化が起きていますが、その駆動力は規範統合、つまり「個人生活の自己責任原理」です。
 
第4の統合、経営統合はまだ見えにくい部分が多いので今日は省略します。
 
私達は、この個人生活の自己責任原理を生存権、健康権という基本的人権に置き換えていくという闘いを続けながら、病棟の再編削減、介護保険の縮小という大状況と渡り合っていかなければならないというのが2020年の大きな情勢だと思います。
 
その情勢打開のために今私が民医連で作っているパンフレットの、いちばん重要な第6章の原稿を添付させていただきますので参考にしていただければ幸いです(資料6)。
私どものような非営利・共同の事業体とコミュニティが力を合わせれば、世界を変えていけるんだという壮大な内容なっていますが、ぜひ真剣に受け取って考えていただきたいと思います。
以上でご挨拶を終わって、今回の議長を指名いたします

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2020年1月20日 (月)

変革の主体

社会格差が健康格差を生んでいく過程をいくら精密に描き出しても、その状態を変えることにはならない。
端的にいえばその役割を担う新しいコミュニティを創造することを提起する必要がある。
民医連の事業所や共同組織をはじめとする非営利協同事業もそのコミュニティの重要な一部に加えたい。
 
コミュニティ+非営利協同事業 と国家、資本との社会経済構成上の関係については以下の図のようである。
 
この三角形は贈与・互酬、収奪、搾取という交換関係の三角形に対応している。
 
交換関係を土台とするこの図では、労働者階級が変革の主体として現れず、コミュニティ+非営利協同事業 が変革の主体となっている。これはすなわちコミュニティ+非営利協同事業を形成するのが労働者階級であるからに他ならない。2020120

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見えない余呉湖と驚く鳩原ループー北陸本線

恥ずかしながら、1月18日の「朝日歌壇」で「飛び恥」という言葉を初めて知る。
 
「逃げ恥」ではなく、飛行機で移動することは環境負荷が大きいので恥じるべきこと、避けるべきことだという主張である。ヨーロッパの個人旅行では著明な傾向となり、飛行機会社が慌てているというのは知っている。消費者としてできるかなり有効な気候変動対策かもしれない。
 
僕も民医連関連の出張で年間の飛行機利用回数が地方では目立つような生活を何年も続けたので、JALの社員がなぜANAでなく自社を選び続けてくれているのかを訊きに病院まで訪ねてきたことがある。
実はそれは恥ずべきことだった。
 
そこで、最近は東京出張の飛行機利用は往路だけにし、帰りはJRにしている。それも新幹線を一部外している。昨日は東京から金沢までは新幹線、金沢から大阪までは在来線にした。この線を利用するのは3回目だが、座席の関係で琵琶湖西岸をゆっくり見たのは初めてとなった。
 
余呉湖が見えたと思ったのは琵琶湖の北端の間違いだったろう。名古屋に向かう路線(北陸本線)では見えるが大阪と結ぶ線(湖西線)ではわずかの距離差で見えない。
また、敦賀82934727_2660596077356463_12035151885615 82480436_2660601870689217_73945181655704 82952557_2660887330660671_35353855922148 を過ぎて山の中に入っていくと、一瞬だけ展望が開けて、まるで金沢方面に向かうような角度で敦賀市街と湾が見えたので、幻を見たのかと思って、写真を撮るのも遅れたのだが、 あとで大阪の友人に教えてもらったところによると、これが有名な「鳩原ループ」だった。

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2020年1月15日 (水)

なかなかの因縁話


ロールズ「正義論」(紀伊国屋書店)の研究者・訳者 川本隆史さん(広島市己斐出身、東大、国際基督教大)から、あるクリスチャンの女性教師の足跡を訪ねて、僕の母の生まれ故郷である広島県大崎下島の大長(今は呉市になっている)という集落を訪ねるので、その地に住む親戚を紹介してほしいという電話があったのは昨年の夏だった。近くの因島というところで高校の校長をしている従弟に連絡を取った。

 

その調査に関わる記事の乗っている雑誌「みすず」を川本さんが送ってくださったが、なかなかの因縁話になっているので、ご本人には失礼だが、勝手な要約をー

 

「【『みすず』2020 年 1・2 月合併号「二〇一九年読書アンケート」】 川本隆史(社会倫理学)から


1 奥田貞子『空が、赤く、焼けて――原爆で死にゆく子たちとの8日間』(小学館、二〇 一五年)。

 

広島への原爆投下の翌日、瀬戸内海の島から 60 キロ離れた広島市に渡って兄の子どもを 探した奥田貞子先生(当時 31 歳)の日記をもとに、被爆地での出会いと永訣を物語と詩で綴った佳 品。彼女が戦後長く奉職した基督教独立学園高校(全寮制/山形県西置賜郡小国町)の保 護者の尽力で出版された冊子『ほのぐらい灯心を消すことなく』(一九七九年)を、増補・ 改題のうえ復刊したもの。

筆者は二〇一九年七月末には先生の生地(広島県の大崎下島大長)を訪ねた。


 

2 加藤典洋『大きな字で書くこと』(岩波書店、二〇一九年)。

遺文集。

「父 そ の1」と題されたエッセイに、山形県の巡査だった父親が小国の警察署に「特高主任とし て赴任」し、当地に基督教独立学園を開いた鈴木弼美(すずき・すけよし/1899~1990) の反国家的言動の内偵を続けていたとの記述。一九四四年五 月二二日、鈴木氏を治安維持法違反容疑で検挙した父親は、半世紀以上も過 ぎて「逮捕したのは私」と告白した。 」

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2020年1月13日 (月)

変わらぬ枠組みの中で習慣的あるいは自動機械的に行われる再生産


40歳くらいまで詩の持つ力を信じていたので自作の甘ったるい下手くそな詩を集会で朗読したり機関紙の新年号に載せたりしていたのだが、今はそんなことを考えることも無くなった。

詩を読む人=詩を書く人、という小社会に詩が閉じ込められたからである。

昨日、文脈はまだ十分理解できないものの、著名な医学教育学者が、「誰もが書くが、誰も読まない」と発言するのを聞いていた。

医学会の地方会などにありがちなことである。若い医師は義務のように誰でも何度か地方会には発表するものだが、それは発表する人のキャリアとしてしか意義がないということが多い。誰もが発表するが誰も聴かないのである。 

変わらぬ枠組みの中で習慣的あるいは自動機械的に行われる再生産といったところだろうか。そう考えるとそれはあらゆる場面に見受けられる。

閉じた小社会の中で起こることは詩でも医学でも社会運動でも同じなのだろう。

 

マルクスもデヴィッド・ハーヴェイもジェイン・ジェイコブズも 佐々木隆治・斉藤幸平の存在も知らずにコミュニティを論じる医療系の人の書いたものを読むと、なかなかその小社会の殻を脱することは難しいと感じる。82780147_2648169788599092_72525883857038 82955825_2648169818599089_80094396456349

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2020年1月11日 (土)

68歳の誕生日



昨日が81991769_2643500405732697_76465157638214 83131851_2643325959083475_4296468756437168歳の誕生日 だったが、長男から一冊の韓国掌編小説集をもらった。著者は35歳の若い作家で、舞台はソウル近くの大病院。すごく面白い。

 

数年前、ソウル大学病院の待合室で開かれた労働組合ストライキ集会に挨拶に行ったことを思い出した。

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後脚を洗ってまともなお医者さんに



豚足は前脚の方が美味しいと今日韓国の小説で覚えた.

豚足を食べたこともないのに.

明日辺り,20歳ごろの苦労した食生活,あるいは高校卒から医学部入学前数年のパク・チョンヒ恐怖政治下の韓国潜入と地下政党のオルグ生活の思い出(そのネタは李恢成の小説だったり『徐兄弟 獄中からの手紙』岩波新書だったり)を語るふりをしてこの知識を披露している自分を想像する.世の中はデティールと周囲の無知が大事だ.

と,まぁそのような医師生活をやってきたわけだが.

そろそろそういう生活から後脚を洗ってまともなお医者さんにならないといけない.

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2020年1月10日 (金)

SDHパンフレット ついに出稿

SDHパンフレット ついに出稿の時刻を迎えた。
小さなパンフだが類書はきっと世界中にない・・・これはいつもの誇大妄想。
その分、産みの苦しみは大きく、正直心身ぼろぼろになった。
大事な人間関係も壊したかもしれない。
・・・なんていうとまるで芸術家の仕事のようだが。

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2020年1月 6日 (月)

アズナブールな私

(別に年末年始に限らないが)この年末年始は文字通りフルに働いて病棟を守った.真夜中の急変で大学病院に患者さんを送っていったり,明け方5時に(運転手の絶対的不足と高齢化でこの時間はもはやタクシーが動いていないので)強い季節風に逆らって進まぬ自転車を漕いで気管内挿管のため駆けつけるなどということがあった.

流石に長い正月休みの最終日,1月5日の夕方は病院を離れたくなって馴染みの理髪店に行った.「最近来ないので心配だ」という年賀状をもらっていたからでもある.そこで真っ白になって伸び放題の眉毛を黒く染めてもらってアズナブールのようになって最低5年は見た目が若返った.

と,別に高齢医師の残酷物語をここで書きたいわけではない.その理髪店で聞いた話が随分考えさせられたからである.
一つは近くの商店主の高齢婦人が店の前の道路で交通事故死された話である.商店の前に大型車が止まっていて見通しが効きにくいところを渡ろうとしたのではないかということだった.近所の生活道路の交通事故を知らず問題視もしていなかったことを反省した.これもSDHに関連する話である.
もう一つは,理髪店は外が見えやすいため,これまで何人もの徘徊老人を保護したという話である.呼び止めて「コーヒーを飲んでいきませんか」というと大抵足を止めてくれるとのこと.「宇部市か警察にこのこと話しましたか?」と尋ねたらなんの連携もないとのことだったが、本当の認知症カフェはここにある.
最後に教訓を一つ「民医連の医師にとって地元の理髪店を利用するのは義務である」.
ただし、理髪店にいた100分の間、病棟からの電話は7回あった。平均的な頻度であるが。8fc58bae7422427081c06d955975603c 38588a4d44a64fd38e85b53af0174146

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