人間の復興
日本国憲法25条「生存権」の源を探ると、大正時代に活躍した東京商科大学(現在の一橋大学)教授 福田徳三に行き当たる。
さらに福田徳三に影響を与えたのはドイツのアントン・メンガーという法学者だと言われている。メンガーの思想はドイツのワイマール憲法に結実している。
したがって、憲法25条「生存権」の実現を使命とする民医連にとって、福田徳三、アントン・メンガーは、人的なつながりは全くないにしろ、思想的な先行者として尊ばれなければならない人たちである。
それは置いておくとして、福田徳三の生存権思想がもっとも顕著に示されたのは、関東大震災時に著された「人間の復興」論である。
被災者の生活、生業、人間性の復興を抜きにしたハードの復興はナンセンスだというその明白な主張は、「地域住民主権」思想に結びつき、阪神大震災、東日本大震災の際に声高に唱えられた「選択と集中」による「創造的復興」という惨事便乗型資本主義、ショック・ドクトリンと真正面から厳しく対決するものである。
「人間の復興」論は今回の熊本地震のみならず、災害復興における僕たちの不変の原則である。
と同時に、災害時の活動こそ「生存権」実現への姿勢が最も鋭く表現されるものであることも改めて意識しなくてはならない。
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