デヴィッド・ハーヴェイ「『資本論』入門 第2巻・第3巻」作品社2016/3 序章
まず序章でつまずく。
マルクスは生産、交換、分配、消費という資本の全体像を、その連関のなかで捉えるべきだという立場を表明しながらも、実際には生産は法則性のある一般性の次元に、交換・分配は偶然に支配される特殊性の次元に、消費はカオスに満ちた個別性の次元にそれぞれある、とする古典派経済学の枠組みに閉じこもって資本論第2巻を書いた。
これは結局、生産に対して、交換・分配・消費を周辺に追いやることとなった。
こうすることでマルクスは彼の時代の歴史的な特殊性を乗り越える認識を獲得して第2巻を今日も読む価値のあるものとできたが、そこでの彼の主張を現実に適用することはそれによって著しく困難になった。
今日の読者は、第2巻を現実にどう適用するかということを自らの課題としながら読むほかはないが、実はそれは、第2巻、第3巻を実質的に編集しなおし、第1巻と同等の重要性を抽きだしてくるきわめてエキサイティングなことなのだ。
そのように第2巻を理解することなしには、第1巻を理解することも本当はできない。
・・・と、まぁ、こんなことが書いてある。
入門書の段階で頭の中がかき乱される。
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