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2016年5月 2日 (月)

柄谷行人 「憲法の無意識」岩波新書2016/4/20

面白そうな本と雑誌を買い込みすぎて、読む時間がなくて困っているのに割り込んできた一冊。
 
多くは以前読んだことの繰り返しであまり新味はない。
 
ただ、憲法9条は、占領軍に強制されたものに違いはないが、あとから日本社会が内発的に、すなわち無意識の深いところで選んだものなので、意識という浅いところで変えようとしても変えられるものではない、という主張は面白い。
 
これが題名の「憲法の無意識」の所以である。
 
憲法9条を変えない無意識の強迫的衝動・欲動の実体は、明治維新以来70年間の戦争の時代に対する悔恨だということができる。
 
この第2次大戦後の状態は、室町からの戦国が秀吉の朝鮮侵略までに至った時代の後始末のために徳川幕府が開かれたときによく似ており、その回帰ともいえるので、9条を選択する日本人の無意識は極めて強固なのである。
 
いっぽう、世界は1880年ごろの帝国主義時代に回帰している。新自由主義とは新帝国主義の美名にすぎない。再び世界戦争が起こる可能性は低くない。戦争が起これば、大きな犠牲の後、世界は真の国連、すなわち世界共和国を選ぶだろう。しかし、その犠牲を避ける方法はある。日本が憲法9条を実行し、世界に贈与することがそれだ。犠牲を避けるにはそれしかない。
 
常識的にものを考える人には、なんだそれ、ということかもしれない。

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