2016.4.30 医療生協理事会挨拶
3月30日水曜日夜に開いた理事会では、前山口大学副学長の纐纈 厚さんが7月10日と予想されている参議院選挙の野党3党の統一候補に決まったという一部の新聞報道を取り上げましたが、今日はもう直接ご挨拶いただく運びとなりました。
そのことにも象徴されますようにじつに激動した1ヶ月でした。
冷静に振り返ってみたいのですが、4月1日は新入職員のオリエンテーションを開始しました。東海大医学部在学中に奨学生となって今年めでたく医師国家試験に合格した小泉先生も着任してオリエンテーションを受け始めました。
私がオリエンテーションの開始にあたって話した内容は資料1としております。
3月30日の理事会で原田理事がお話されたことを大きく取り上げさせていただいています。
『「助けて」といえる病院』は、北九州ホームレス支援機構の奥田知志牧師のいう『「助けて」といえる社会をめざして』とも同じ意味合いだと思いますが、今の医療生協、民医連のあり方をきわめて端的に示しています。
奥田さんは「あなたが『助けて』という言葉を発したことがないなら、あなたは新しい社会の形成に何も貢献していないのだ」とまで言っています。
理事の皆さんは「助けて」と言われたことがあるでしょうか。
私は、一昨年の年末に長女が出産して、家庭内の支援が困難だったので「助けて」と言いましたが、茅さんのボランティアグループや、中村先生の保育園に助けてもらうことができました。
このことをネットにも投げかけてみると心強い反応がいくつかありました。
大阪民医連の中心的な病院である耳原病院、建て替えて十何階かの大きな建物になり、おそらく全日本民医連の病院のなかでも最も高層の病院になっていると思いますが、そこの理事長の斉藤先生もこの言葉を気に入ってくれて、「耳原病院は『助けて』の一言が言える病院だ」と新入職員に語ってくれています。
もちろん、民医連は一言多い人の集まりですから『むしろ「助けて」と言いたくても言えない人を発見する病院じゃないのか』という意見もありました。それはそれで大切なことではないかと思います。
新入職員だけでなく職員全員で「助ける」実力を科学的な目を持って養い行動する病院・診療所・事業所にしたいと改めて思ったしだいです。
このように、順調に今年度のスタートを切ったかに見えましたが、4月14日夜と16日未明に激しい地震が熊本で起こり、社会全体が非常事態に入りました。
全日本民医連もただちに行動を起こし、大牟田市にある米の山病院に対策本部を置き、まさに大車輪で支援活動を始めました。
山口民医連としても研修医の小泉先生や三藤理事他職員10人を派遣しました。私も5月5日には支援に出向く予定にしています。
現在も地震は続いており、避難者がなお3万人を超え、直下型地震による建物の損壊が大きいため自家用車内で生活する人が多くて関連死亡も目立つという状況であり、これが相当長期にわたりそうなので、そういう構えで全力の支援を組むつもりでいます。
すこし、時期が下れば、組合員の方の活動もお願いする時期が来ると思います。ご準備をそろそろ考えていただくようお願いします。
そして、この間には夏の参議院選挙の前哨戦である北海道と京都の補欠選挙がありました。とくに北海道の選挙では、戦争法廃止だけでなく、むしろTPPや不安定雇用、保育の問題など、新自由主義政策の下での市民生活の困難を前面に押し立てて戦って大善戦したことは大きな意義がありました。
といいますのは、安倍政権が立憲主義に挑戦する集団的自衛権行使や戦争法の強行であれだけ国民の支持を失いながらなお延命しているのは、経済政策では「まずいにしても安倍の方法しかないだろう」という幻想を国民のなかに勝ち得て渡辺 治先生が言う「片肺飛行」を成功させているからです。北海道の選挙を通じて、平和の問題だけでなく経済でも安倍はとことんだめだ、別の政策しかないということが若い人に浸透し始めたことが大きな成果ではなかったかと思います。
後藤道夫先生が分析していましたが、若い人のSNSへの反応は、政治問題より経済・生活問題のほうがはるかに大きく10倍くらいになるそうです。
それから、昨日は「健康づくり」の交流集会もあり、これでようやく激動の4月が終わるというところまでいたりました。
私はここでも世界医師会長のマーモットさんが言っていることを紹介しました。「同じ2010年に起こったカリブ海のハイチの地震では20万人が亡くなった。それより500倍大きかった南米のチリの地震では死者は数百人だった。ハイチとチリの社会の有り様の違いがその数字を決めたのですね。その社会の貧困と格差の大きさがそれを決める。」
気候変動とは違って、地震の多発は残念ながらこの時代に生まれあわせた私たちの運命ですが、地震によってどんな被害を受けるかは運命ではない部分が大きいです。そのために私たちがなすべきことは多くあります。
たとえば避難所の運営、福祉避難所への手上げなどは今すぐ着手したいところです。僭越ながら、私の挨拶を資料2としておきましたので、お目を通していただければ幸いです。
終わりに、健康づくり、まちづくり、災害に強い地域づくり全部に関係する「地域包括ケア幸手モデル」の学習討論会を6月26日に開催できるよう準備を進めております。
ぜひともその日の予定を空けておいていただきたいと思います。
今日は、自分が書いたものを二つも資料につけるという勝手なことをして恐縮していますが、総代会の準備など重要議題が並んでおりますので熱心なご討議をお願いして私の挨拶といたします。
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