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2016年2月 9日 (火)

マーサ・ヌスバウム「女性と人間開発  潜在能力アプローチ」(池本幸生他 訳)岩波書店2005 を読む

マーサ・ヌスバウム「女性と人間開発  潜在能力アプローチ」(池本幸生他 訳)岩波書店2005 を読む

ケイパビリティを潜在能力と訳しているところで翻訳としてはすでにアウトだが、頭のなかでそのつど変換すればいいので致命的な欠陥ではない。本文ではケイパビリティ・アプローチになっているし。

「温情主義」という言葉も頻繁に出てくるが、パターナリズムと気づくのに一瞬タイムラグを強いられる。

そういう瑣末なことは横において、この本はフェミニズムに関係なく、ヌスバウムの率直な主張が読み取れて気持ちがいい。

個人のその人らしい生き方(選好)の尊重と、普遍的な正義の存在の承認という両極を統一させる方法こそ、ヌスバウムのケイパビリティ・アプローチである。

すなわち、功利主義と規範主義の中間にヌスバウムは立っている。

基本的人権やQOL指標もそういうものである。

客観的正義の暫定的承認と、実践的意義の尊重の、両者が合流するところに現代における意思決定はある。

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