ドラマ「わたしを離さないで」と現実の交差 憲法13条をめぐって
政治性に欠けるカズオ・イシグロのこの小説を現代の日本に移し替えていったい何を主張できるのかと訝しく思っていたのだが、2月19日のTVドラマ「わたしを離さないで」第6話は、極めて鮮やかに原作とは全く違う主題を提示して見せた。
それは個人の尊厳を謳う憲法13条を殺そうとする日本の告発である。
臓器提供のためのクローン人間を「天使」だとする語りは「戦士」についての語りに聞こえ、生命の提供を求められる兵士の存在と憲法13条が絶対に両立しないという主張を見事に物語の中に織り込んだ。
おそらくこのドラマと日本の現実の交点は第6話のこのエピソードだけに終わると思うが、その放送が、安保法制に反対する歴史的な野党5党合意の日に重なったのも、決して偶然ではないのだろう。
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