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2015年10月 5日 (月)

シンガポール映画「イロイロ」

シンガポール映画なんてジャンルがあるのかと半信半疑だったが、「イロイロ」という低コスト映画は、様々な情報に満ちながら、情感もあるいい映画だった。

2013年に31歳の監督が1997年のアジア金融危機に喘ぐシンガポールの庶民生活の中で子どもだった自分を回顧するというものである。

イロイロというのはフィリピンに多くある島の中の人口30万人程度地方都市の名前だが、ウサギ小屋のようなシンガポールの共稼ぎ夫婦の家庭に雇われた28歳のメードの出身地であることから映画の題名になった。

高度経済成長途中のシンガポールにはこんな家庭でもインドネシア人やフィリピン人のメードが雇えたのである。それほどにインドネシアやフィリピンがアジア金融危機で貧困に突き落とされたいう背景がある。

物語の中心はメードと少年の交流だが、父親の株の失敗や解雇、母親の仕事が会社の首切りであることや自己啓発セミナーの詐欺被害などが次々起こってくる。

結局、メードを雇えなくなってメードは帰らなくてはならない。彼女が辛い生活で唯一楽しみにしていたウォークマンを貰った少年は、父親とイアフォンを分け合って音楽を聞く。その歌が始まってエンドロールが流れるという終わり方は少し洒落ている。

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