今日の日経新聞ー多和田葉子のエッセイ
今日の日経新聞は、戦争法廃止のための国民連合政府についての不破哲三さんの短い発言を載せていて、それなりに珍しい紙面になっているが、それより面白いのは、最終面の多和田葉子のエッセイである。
知らなかったが、この人はドイツ語と日本語で 別々の小説を書いているという特異な作家である。今はドイツにいるこの人が、この夏のギリシャ騒動について触れている。
「ドイツがギリシャに電気仕掛けのロバなど無用な商品を買わせ、しかも購買力を衰えさせないないためにお金を貸し続けたので、ギリシャは借金がどんどん増えていった、という話ももちろんフィクションである」
もちろんフィクションではなく、ことの真実を言い当てている。
これを読むと、新自由主義資本主義はいまだに2008年の恐慌を引き起こしたサブプライム・ローン方式のあくどい商売を続けていることがよくわかる。
彼らは売る側に回って架空の需要を作り出して大儲けし、ついに買う側が破綻すると国庫に補償させる形で大量の富を持ち去る。
国庫からの補償は税金を使っての直接的な銀行救済や、それと同時に行われる社会保障費用の大幅緊縮によるのである。
こんなエッセイを日経は最も嫌うと思えるのだが、フィクションといっているので見逃したのだろうか。
それから、米国立心肺血液研究所が、血圧の正常値を130/80でもダメだ、120未満だと言い出したことを大きく取り扱っている。
すでにWHOは、130/80をめざして一日あたりの望ましい塩分摂取量を6gではなく5gだとし、医療福祉生協連も国立循環器病研究センターの「かるしおプロジェクト」にならって、すこしお作戦を唱えているのだが、それでも足りないというわけである。
製薬メーカーの販路拡大には極めて都合の良い、正常値引き下げ競争ではある。
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