結城康博「在宅介護」岩波新書2015/8
序章で「日胆勤医協在宅:みやまの里」が例外的に質の高い、かつ安価なサービス付き高齢者住宅として紹介されていたので読むことにした。
序章と第一章「在宅介護の実態」のあとは、最終章の政策提案を読むことにした。
僕達はいま中小病院が病棟だけでなく外来・在宅・保健にも力を入れて行くことを主張している。そのために、その4分野を担える総合医の養成が欠かせないともしている。 その際、保健や外来のみでは経営が厳しいのでその4分野をまとめて初めて黒字になるように制度設計して行くことが必要である。
結城氏は介護分野でほぼ同じことを主張している。
在宅介護のみでは経営が厳しい。在宅と施設で合わせて経営が成り立つように、老人保健施設や特養を基盤にして定期巡回訪問サービスや訪問看護ステーションを展開するようにすれば、在宅介護の質の向上も期待できる。
また、准看護師と介護福祉士とを統合した修業年限3年の国家資格を創設することも提案している。
そして、2025年までに介護従事者の賃上げ20%を主張し、それに必要な2.4兆円は、公共投資よりはるかに経済効果の高い社会投資として、消費税によるのでない公費投下を求めている。いずれも納得できるものである。
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