雑誌「詩人会議」10月号鎌倉英也「加藤周一 幽霊と語る」・・・加藤さんの予言「老人学生同盟」
今日は炭鉱夫詩人の花田克己さんが不自由な体を押して外来診察室に雑誌「詩人会議」10月号を届けてくれた。
表紙をみると 鎌倉英也「加藤周一 幽霊と語る」という連載があることが分かった。2009年に同名の映画を発表した監督である。
そのDVD
https://www.youtube.com/watch?v=Gv7japsBGgQ
は県連で購入して何人かが見たが、この連載については初めて知った。
今月号の記事をざっと読んで、自室の本棚で9月号を探したが、どこにも鎌倉さんの名前はない。
8月号を探すと、いくつか並ぶエッセイのなかに鎌倉さんの文章があり、末尾に(続く)とあるだけで連載などとは書いていない。連載と銘打たれたのは事後的に今月号からなのだ。
なんという詩人の雑誌らしいいい加減さであるか。
さて、8月号では2006年12月8日、日米開戦65周年の日に加藤さんが東大駒場キャンパスで行った講演が触れられている。
「老人と学生の未来ー戦争か平和か」と題されたその講演で、加藤さんは大略
「老人と学生という(大勢順応の社畜の期間40年を間に挟んだ)二つの自由な精神の協働・同盟が9条廃止という改憲のたくらみを挫折させることができる」
ということを述べている。
この「老人学生同盟」の予言はしばらく地下に潜っていたが、加藤さんの死(2008.12.5)から6年余りを経て、2015年夏にその萌芽がついに姿を現した。
9条破壊法案は成立したが、そのことによって日本社会にはそれを補って余りがある地殻変動が始まった。それを推進しているのが老学同盟である。
いまこそ、このDVDを見直すときかもしれないと考え、県連から借り出してきた。あさっての医療生協理事会でさわりを紹介することにしよう。
もうひとつ、鎌倉さんは10月号で2015年7月23日の朝日新聞「声」欄に掲載された86歳の男性の投稿を紹介している。
山口県防府の海軍通信学校で特攻機の突入信号音を何度も傍受したというその男性は学生のデモが始まったという報道にうれしくて涙を流したといっている。「体の芯から燃える熱で、涙が湯になるようだった」
じつは僕の父も海軍特別少年兵として14歳の幼さで防府の通信学校にいたのである。投稿した男性は父と同い年だから、彼も少年兵だったのだろう。
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