« デンマーク映画「アルマジロ」 | トップページ | ルソーからロールズへ »

2015年9月 1日 (火)

「形式的なロールズ、実質的なアマルティア・セン」は正しいか

生存権からさらに踏み込んだ健康権は普通以下のような規定で示されるが、宣言を精緻に仕上げることを目指すのはロールズ的である。

1966 年国連総会採択、1976 年発効 「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」 (A規約あるいは社会権規約、日本の批准は1979 年)

第12 条 「1.この規約の締約国は、すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有することを認める。

2.この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためにとる措置には、次のことに必要な措置を含む。

(a)死産率及び幼児の死亡率を低下させるための並びに児童の健全な発育のための対策 (b)環境衛生及び産業衛生のためのあらゆる状態の改善

(c)伝染病、風土病、職業病その他の疾病の予防、治療及び抑圧

(d)病気の場合にすべての者に医療及び看護を確保するような条件の創出」

一方、こうした宣言だけでは、目の前の不健康は救えないとして、以下のような宣言や憲章に基づく具体的な健康戦略を計画するのは、アマルティア・セン的である。

アルマタ宣言(1978)

ヘルスプロモーションのためのオタワ憲章(1986)

21世紀の先駆的ヘルスプロモーションに関するジャカルタ宣言(1997)

どの健康戦略も失敗したり、小手先的な成果しか上げていないのだが、いずれにしても改良主義的なものに過ぎない。

「形式的なロールズ、実質的なセン」 ということはできるが、それでは、ロールズの方法が目指す根本的、言い換えれば革命的な変化を理解できない。

「革命的なロールズ、改良主義的なセン」という言い方も可能である。 だとすれば、センとロールズは本当のところは一つの方向を相補的に示しているといってよいのではないか。

|

« デンマーク映画「アルマジロ」 | トップページ | ルソーからロールズへ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「形式的なロールズ、実質的なアマルティア・セン」は正しいか:

« デンマーク映画「アルマジロ」 | トップページ | ルソーからロールズへ »