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2015年9月16日 (水)

潰瘍性大腸炎の元自衛隊員

僕は患者さんのいないときは診察室のドアを空けているので、次の診察を待つ患者さんはじっと中をうかがっているようだ。

Kさんも、「えらく長く待たせたね」と言って入ってきた。「なかなか呼ばれないから何をしているのかと見ていたら、仕事ではないみたいだった」
そんなに待たせてはいないはずだがそういうのである。

「いや、今日の夕方の集会に職員みんなが行く算段をしていた。会議を止めるとかね」

「あぁ、あの集会なら俺も行きたいな。だが行くとぶっ倒れるだろう」

Kさんはそこで急に饒舌になった。
「安倍さんと俺は同い年なんだよ。同じ県出身の。そして同じ病気。おれは自衛隊で、向こうは総理大臣だけど」

Kさんは、自衛隊除隊後コックになったが、潰瘍性大腸炎発症後に失業して生活が非常に困窮した。そこから僕との付き合いが始まって、20年以上内科的に治療したあげく数年前ついに大腸を全摘しなければならなくなった。

潰瘍性大腸炎に僕が少し詳しいとしたらKさんのおかげである。

「俺は自衛隊に入って、すぐに料理担当になって戦闘とは余り縁がなかったが、これからはそうは行かなくなるね。俺みたいな隊員も殺しあいさせられるだろう。そういう自衛隊にはだれも入らんよ。自衛隊を絶対そんなものにしてほしくないよ。

だから先生、今日の集会は俺の代わりに行くと思っていってよ」

ああ、そうする。その気持ちはみなに伝えよう。

「僕も、安倍さんが初めて衆議院に立候補して宇部の亀浦という小さい集落の公会堂に来てしゃべったのを聞きに行ったことがあるんだよ。まぁ、偵察だったけど。そうしたら、まっすぐこっちに来て握手しなければならなくなった。やわらかい手だった。

あの時、あの握手で安倍さんをし始めた人は、あの握手から戦争に巻き込まれたということになる。そういうことも話したい。」

「先生、それはぜひ話さんといけん」

・・・まぁ全然そういう集会ではなかったので、Kさんの思いは裏切ったわけだけど、代わりにここに書いておこう。

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