9/4朝日新聞 佐伯啓思
今朝の朝日新聞には佐伯啓思がアベノミクス批判を書いている。
佐伯は保守だが、新自由主義ではない。サンデルなどと同じコミュニタリアンである。
コミュニタリアンは共同体主義者とも呼ばれるが、普遍的な正義よりも共同体に継承される善(共通善)を優先させる。天皇崇拝が日本という共同体の固有の善だなぞと言い出すから始末が悪いが、困った人を見捨てないのも我々の社会の前提だなどとも言う。
医療で言えば、物語派、質的研究派、社会構成主義派と通底していそうである。
そう言えば、「家庭医療」などという名称も、家庭が社会の共通善だと信じているからに違いない。家庭など持たない人がこれだけ増えている時期にアナクロだとは思わないのだろうか。
一方、普遍的正義を唱えるものはコスモポリタニズム派と呼んでいいかもしれないが、自由主義・新自由主義のリバタリアンもそうであるし、ロールズなどのリベラリスト、そして僕たちマルキスト、新アナキストもそうである。普遍的正義派は全く反対の2派を含んでしまうわけである。
医療で言えば、ナチスと親和性の高い人権無視の研究至上主義派と、民医連など健康権ーヘルス・プロモーション派が一緒にまとめられるといえばよいだろうか。
そこで、ある時期にはコミュニタリアンと僕たちが共闘しなけれなばならないことにもなる。
佐伯がその一文を、「われわれは、一刻も早く、貪欲で即物的な金融中心のグローバル資本主義から決別しなければならない」と結ぶ時、僕たちは全くそれに賛成するし、デヴィッド・ハーヴェイの佐伯への影響なども感じ取るのである。
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