石田雄治「ヒトラーとナチ・ドイツ」講談社現代新書2015/6
石田雄治「ヒトラーとナチ・ドイツ」講談社現代新書2015/6は、全日本民医連の最近の評議員会の会場で購入したものだが、明快で読みやすい本である。
ヒトラーとスターリンの接近の記述がほとんどないのが気になるが、これは不破哲三さんの本を読めば補えることである。
ナチのレイシズムに先行するドイツ優生学の中心人物アルフレート・プレッツ(1860-1940)が人間社会についてどう考えていたかが260ページに書いてある。
「人間社会は隣人愛や相互扶助によって成り立つが、それは自然の摂理、つまり淘汰と選択を原理とする種(の進化-野田)と相容れない。種が進化を遂げるためには、高等形質を保護し劣等形質を排除するための国家による社会への生物学的介入が必要だ」
レイシストたちも人間の社会共同性の本質に気づきながら、それを抹殺しようとしていたのである。
これに積極的に加担したドイツの医師たちが第2次大戦後どう裁かれたかはアンネッテ・ヴァインケ「ニュルンベルク裁判」中公新書2015/4に簡単ながら触れられている。
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