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2015年8月 4日 (火)

カズオ・イシグロ「遠い山なみの光」

今週末、長崎の原水禁大会に行くということもあって、長崎ゆかりのこの小説を手にとってみた。

もちろん、背景は長崎への原爆投下である。

だが、不思議な小説で、いくつもの物語が平行して存在していることがあきらかになりながら、語られるのは、主人公に選ばれた女性のイギリスにおける現在と、長崎における過去の交錯という、いわば物語の断片のみである。

そして主人公悦子の被爆体験、そして犯罪経験(もしかすると連続児童殺人事件)、娘の自殺事件の真相、長崎での友人とその娘のその後という恐怖を伴うもろもろは暗示されるにとどまり、無数にあるその他の物語のなかに消えてゆく。

だから、読者にとっては謎ばかりという印象を生む。

読むほどに不安定な感じが伝染してきて、自分の存在自体が危うくなる感じがする。

この辺がカフカ的といわれる所以なのだろう。

詳しく、読解する時間的余裕がなかったので

http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/bitstream/iyokan/431/1/AN10579404_2011_30-11.pdf

を参考にさせてもらった。

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