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2015年7月 4日 (土)

絶対的地理と相対的地理

一人の人間が個人的な興味に任せて読んでいるのだから、必然的にそうなるともいえるのだが、いろんなことがつながるのが不思議だ。

デヴィッド・ハーヴェイは資本論の斬新な解説者、一刀両断の新自由主義批判者として知られているが、本業は地理学で、地理には絶対的地理と相対的地理があると言っている。

絶対的地理とは、歴史とは独立して、各国の版図や都市内の所有権の境界を示したものであり、権力の容器としての空間を表現するものである。

相対的地理とは歴史と不可分なものであり、地域間の機能的な関連を描き出すものである。東京からの時間的距離で現した歪んだ地図はその卑俗な一例である。

これを医療に引き寄せると、解剖医や領域別専門医の見る人体が絶対的地理である。

これに対してプライマリ・ケア医、あるいは総合診療医が見ている人体が相対的地理である。その人体は社会の中にあり、他の人々との交渉の中で存在している。

地理と医療のこの対照関係はほぼ完全であるように見える。

そして、全く違う視点の話だが、地域医療振興協会の山田隆司医師は、診療記録に用いる分類として、ICD国際疾病分類とICーPCプライマリ・ケア国際分類があるとする。

http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list7/r123/r123_08.pdf

・・・ただし、これは財務省の宣伝誌に掲載されたものである。
http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list7/fr123.htm

前者ICDは、言って見れば病理解剖医が下す死後診断名であり、後者ICPCはごく曖昧な受診理由に対応する診断名、手探りで下す治療のための診断名、長年の観察の結果変化していく診断名を丸ごと含んで、かつ層別に構成したものである。
たとえば腹痛ー診断に至らなかった腹痛ー胃が原因の腹痛ー胃の潰瘍性病変による腹痛ー潰瘍型の胃癌による腹痛という層的構造の記述がそのままカルテになる。

ICDが絶対的地理、IC-PCが相対的地理に照応することはおのずと理解されることである。

まぁ、単純に機械論的見方と、弁証法的見方という古い話であるが。

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