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2015年7月12日 (日)

消えた「地域多機能病院」

尾形さんという人から

http://pari.u-tokyo.ac.jp/info/member.html

医療機関の missonーvisionーstrategyが大切で、それを考えるためにはマイケル・E・ポーターの positioning論

http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/181680.html

を読むのがいいだろう、という話を聞いた。

独自の差別化されたmissionのないところに独自のstrategyはない、というのが彼の強調したところである。

非救急型の高度急性期医療を提供することをmissionにすれば、アクセスの悪い場所で外来機能は捨てるというstrategyが出てくるのである。これがpositioning
だ。

一応もっともらしいが、やはり競争の中での一企業の存続のためのstrategyに過ぎない。

民医連病院のmissionは地域医療、地域包括ケアを民主的に再構成、あるいは再創造することが前提であることを忘れてはならないだろう。それを外れた選択や集中はないはずだ。

地域医療の再創造や再構成に関連して、政府は県職員のなかにデータ・ヘルスを使いこなす人材を多数養成して地域医療構想を作り上げようとしているが、そのmissionは医療費削減にしかない。

それに対抗する能力を僕たちが養う、あるいは県が獲得しようとしている能力を僕たちの側に引き込むことが今、重要になっている。

その上で、中小病院のmissionについては外来、病棟、予防・保健、在宅のバランスの良い医療のモデルを作るということになるだろうが、それに関連して、尾形さんは病床機能区分の設定の 経過について興味深いことを話してくれた。

周知のように高度急性期ー急性期ー回復期ー慢性期という分類に落ち着いたが、議論のなかで消えたものに「地域多機能病院」があるそうだ。

提案した官僚や尾形さんは僻地の単立病院を想定していたのに、現場の委員達が、大都市部にもそれはあると主張したので、結局消えたというのである。
それを許すと病床機能は分類が無意味になるということである。

これは惜しいことだった。東京や大阪の貧困地帯には、まさにそれが必要なのは明らかだからだ。

しかし、これが消えたところに、この病床機能区分のアキレスの腱がありそうである。この、イギリスのプライマリ・ケア・トラストの部分をなすコミュニティ病院をより高機能にしたものを否定するところに、医療費削減の枢要がある。

まさに、「地域多機能病院」を大都市でも地方でもめざすところに僕たちのstrategyがあることの暗示がここにあるといってよいだろう。

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