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2015年6月17日 (水)

「コスモポリタニズム」メモ#1

「コスモポリタニズム」メモ#1

企業統治(ガバナンス)、利害関係者(ステイクホルダー)、官民パートナーシップ、権利擁護団体(アドボカシーグループ)、草の根組織(GRO)などは全て新自由主義とともに現れた、個人の所有権の普遍性を絶対視する概念や装置であり、新自由主義に親和性のあるものである。

ある国の児童労働を問題にするNGOがあって、その活動のせいでそれが禁じられるが、極貧の親たちは児童売春を増やしてしまった。そこで別のNGOが登場するという風にである。

これに対し、政党が後退して結社主義(アソシエーショニズム)が進出してきたのは、新自由主義に対抗する勢力もまた、個人の権利の絶対視の風潮の中で変容を迫られたという結果である。
ただこれがローカルな実践主義になって国家権力の軽視につながると、新自由主義に親和的と評価されるだろう。

もう一つ、アムネスティ・インターナショナルや「国境なき医師団」の評価は「新自由主義の補完物」と言い切るのは難しく単純ではないが、種々の条件下できわめて容易にそうなってしまう。アムネスティも経済的権利は無視して市民的権利のみを追求した一時期があった。

危険なのは一見ラディカルな批判(例えば人権分野)が知らず知らずのうちに新自由主義化と階級支配の強化を支えていることである。

こうして、世界が新自由主義に染められてしまうと、市場の無政府化と共に、天然資源をめぐる国民国家同士の争いは激しくなり対抗組織の力がないこともあいまって戦争の危険性はきわめて高くなる。

それを防ぐには、私たちは世界的視野の広さを持ちながら、個々の地域の実情に合わせて行動するというコスモポリタンにならなくてはならない。

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