映画 河瀬直美監督の 「あん」
多くの人は会議終了後、戦争法制案反対を叫ぶために国会議事堂前に行った。
しかし僕はあまりにも人が多いのは苦手である。
それに加えて、反対の政治行動は地元でもできるが、ミニシアターにかかっている映画は地方では見られないと考えて、銀座のシネスイッチ
http://www.cineswitch.com
という初めての映画館を探しに出かけた。女優の片桐はいりが学生時代もぎりをしていたという映画館でもあるらしい。
実は銀座に行くのは高校3年以来である。
高校の修学旅行で、地下足袋をはいてくるよう指定されて富士山頂に登り、須走を駆け下りた翌日、東京に出て松屋という銀座のデパートの屋上であんみつを食べていた。女子高生数人がじっとこっちをみているなぁと気づき、地方の高校生ながら頭のいいのが外見でもわかるのかなと考えたが、鏡をみて愕然とした。山頂の激しい紫外線のせいで、顔の皮膚がボロボロに剥けていて、まず人前に居るのがおかしいくらいの状態だったのである。
話しが横にそれた。見たかった映画は河瀬直美監督の「あん」。
http://an-movie.com
「萌えの朱雀」以来ずっと追跡しているが、これまでになく素直なストーリーで、ストレートに胸に飛び込んでくる作品である。見ていない人は絶対見た方がいい。
片方の主役永瀬正敏も、山田洋次の「息子」を思わせる鬱屈した役柄ながら、年齢を重ねて随分いい雰囲気になっている。
もう一人の主役樹々希林もなんといえずいい。世界を見て聞くことができればそれで生きていた価値があると独白するシーンは記憶に残る。
しかし、本当の主役は多磨全生園や、その近くの街の樹木たちだろう。桜もその他の木も、河瀬の手にかかると魔法のような輝きを放つ。
映画館を出ようとすると観客は皆泣いている。
最後に田舎者のありきたりな感想。銀座ほど綺麗な夜の街を見たことがない。
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