ポーランド映画「パプーシャの黒い瞳」
三日間、全日本民医連で三つの会議の司会を続けた。ということは、三種類の迷惑を生産したということであるが、予定より早く終わったので、タクシーに飛び乗って、岩波ホールに行った。
大きな施設が目的地ではない場合、東京の地名が正しく発音できないので、タクシー利用は意外に難物である。
冒頭5分くらいを見逃して席に座った。
ポーランド映画「パプーシャの黒い瞳」は白黒映画だが、映像の美しさは素晴らしい。
http://www.iwanami-hall.com/contents/now/about.html
世界は実在するのか、世界は脳の中にだけあって悲しみなども本当は無いのではないかという哲学的な問いに、あなたの緑の瞳も私の黒い瞳も同じ世界を見ることができるのだから世界は実在する、だが、悲しみは一人づつ違うと主人公パプーシャが答える場面に題名は由来する。
画面を見ることの心地よさに少し眠って(これは会議中眠れなかったせいである)、若干緊張が途切れた頃に映画が終わってしまった。
おかげで涙を拭っている人もいる中を憮然として神保町の街に出た。御茶ノ水駅まで歩きながら、なぜラストが他の人にはそんなに悲しかったのだろう、なぜ自分はそれを捉えられなかったのだろうと考えた。
音楽もストーリーもきわめて抑制的で、かつこちらの感性が鈍っているのが第一の理由だが、最後のシーン、気づかれずに小さく振られる手をきちんと見損ねたからだと分かった。
考えるとあれほど悲しい場面もなかった。
そういうこともあって、僕にとってはデビッド・ハーヴェイ6冊目になる「コスモポリタニズム」作品社、厚さが5cmはありそうな本を荷物が肩に食い込むのを憂いながら思い切って買った。
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