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2015年4月17日 (金)

地域包括ケアからの医師外し

医師の形式的な指示(包括指示)があれば、研修を終えた看護師の判断で相当高度の医(療)行為(=特定行為)が実施できる制度が今年10月から実施される。
同時に医師の判断とより具体的な指示があれば、研修を終えてない看護師もその医行為を実施できる。

一例を挙げると、「呼吸困難が増悪すれば気管内挿管する」と大まかな指示を主治医が手順書として出していれば、増悪と判断した研修済みの看護師は傍に医師がいなくても気管内挿管できる、
医師が傍にいれば、研修を終えていない看護師も気管内挿管してよい、
ということである。

その後、気管内挿管は特定行為からは外されたが、現在38項目の医行為が示されている。これはさらに拡大するだろう。

研修を終えた看護師の配置先は主として訪問看護ステーションである。数年後には訪問看護師の8割は研修を修了していることが想定されている。

結局、これは在宅医療を看護師の手に委ねるということだろう。

政府側の地域包括ケア研究会のブレーンである堀田聡子さんがオランダの開業在宅看護師集団 ビュートゾルフを称揚し続けて、彼女たちは日本の在宅医療で医師がしていることは全部できると言っていることに、見事に照応する。

産業医大の松田晋哉先生が、病院の病棟が在宅にベッドを持つ制度を提案し続けていることとも連動するとすれば、地域包括ケア病棟がもう一つの主たる配置先になるかもしれない。

こうしてみると、政府の地域包括ケアは医療外しだという当初の批判はやはり当たっており、医師外しという形で実現されようとしていると考えられる。

看護師の能力の向上策自体はよいことのように見えても、医師外しで在宅医療にかかる公費負担を減らそうとすることを目的にするかぎり、多職種協働の破壊そのものとなり、医療安全、医療倫理の荒廃につながることは必至である。

日本社会はそれほどに医師数を抑制しなければならない状態なのか、という素朴な疑問を多くの人はもつだろう。

ここで、改めて訪問看護ステーションの現状をみると、もっと曖昧な形で医師外しが広がろうとしているのに気づく。

グループホームと訪問看護ステーションの連携加算(介護保険)の制度化である。ここにおける医師の関与は極めて曖昧で、さらにサービス付き高齢者住宅と訪問看護ステーションの契約が医師の関与なしに制度化されて行くことも予想される。

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