水野和夫「傲慢資本主義」
4月23日の毎日新聞の自論フォーラムに水野和夫さんが面白いことを書いていた。
これまでは貴族の傲慢、商人の貪欲が人間としての大罪の第一に掲げられるものだったから、利子が0に近くなって、商人は貪欲になれなくなった。
そこで21世紀の商人が身に着けたのが「傲慢」である。
「傲慢」とは「権力をかさに着て他人の権利を侵害する」ことをいう。
言ってみれば、健康で生きる他人の権利、社会から支えられて生きる他人の権利、普通に働ける他人の権利、自然と親しむことのできる他人の権利、自分の信条に従って平和に生きることのできる他人の権利を奪い取って、利益に変えることを「傲慢」というのだろう。これは国家権力と一体化したグローバル企業が、生産活動でも非生産活動でも、不等価交換を極限まで高めて、多様な収奪を行っていることを指すとみてよい。
そこでは東京による地方の収奪、すなわち「東京創生」が、政策の名前では「地方創生」を騙るのである。
デビッド・ハーヴェイのいう拡大再生産型資本主義から、略奪型資本主義への、21世紀資本主義の変化を、水野さんは「傲慢資本主義」という概念でとらえているのである。
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