雑誌「世界」5月号 ナオミ・クライン「いのちか 金か」
雑誌「世界」5月号では、ショック・ドクトリンで有名になったナオミ・クラインが「いのちか 金か」 「へたっている間にやっつけろ!」という刺激的な発言をしている。
興味深いのは122ページの一連の発言である。
僕の言葉で語り直すとこうなる。
みんなが問題ごとに分かれたタコ壺から脱出できないで、お互いの運動への理解と交流が絶対的に足りない。 たとえば気候変動に取り組んでいる人は、社会保障費削減政策と闘っている人を理解しない。逆もそうだ。
運動の力を合わせ、別々の会話でなくひとつの会話にしなくてはならない。そういう時期が来たのだ。
とくに自分としては、気候変動の市民運動と、ブラジルで貧しい人が社会参加を実現していく手段として盛り上がっている無料低額の公共交通機関を求める運動を一つにしたい。むやみやたらなモータリゼーションを防ぐためにも無料低額の公共交通機関問題は、気候変動の中心的課題だ。
労働運動、社会保障費削減反対運動、気候変動市民運動が、いまの石油の価格低下を「逆ショック・ドクトリン」として使い、化石燃料から逃れる正しい道を求めて同じ要求を掲げて、一つになることを心から希望している。
124ページ
最近、資本側が明らかにした三つの数字と警告はきわめて重要だ。
①温暖化による生態系の大惨事を防ぐには気温上昇を2度以下に抑えなくてはならない ②そのために排出可能なCO2総量は565ギガトン
③しかし現在認識されている化石燃料埋蔵量から排出可能なのはその5倍の2795ギガトンにおよぶ。
したがって化石燃料企業への投資は危険だ。手を出すな。
この仲間内からの警告にもかかわらず、化石燃料企業と政治家は炭素燃焼を止める気配はない。
化石燃料産業からの資本総引き揚げの運動を今こそ本気でやらなくてはならない。
126ページ
ただ、引き上げられた資本が、また別の巨大エネルギー産業をつくり、それが人類を支配するということではだめだというところが、やや扱いにくい問題として残っているのは事実だ。
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