雑誌「世界」臨時増刊「沖縄 何が起きているのか」2015/4 #2
国際政治学者 宮里政玄氏の分析
●マイク・モチヅキとジョセフ・ナイが、中国の軍事的台頭によって沖縄の基地あるいは沖縄に基地の大半を集積させていることがむしろ戦略上の脆弱性を生んでいると指摘していることはよく知られていることではあるが、重要である。
嘉手納に高価高性能のステルス戦闘機F-22をどんなに配備しても、中国の弾道ミサイルは発射から15分で沖縄に着弾するから無意味である。
また朝鮮有事には佐世保が拠点として最もふさわしい。この場合は、あるいは基地がなくても作戦は遂行できる。
こうしてアメリカにとって沖縄からの基地撤退は合理的な選択となる可能性がある。
●それに対して、安倍政権が集団的自衛権行使を現実化して、米軍にどこまでも従おうとしている一つの理由は、中国の軍事的台頭の中で、アメリカをどうしても味方につけておきたいという願望である。
そのさい辺野古の基地新設は米海兵隊撤退計画を食い止めるための「自発的に差し出す人質」やプレゼントのような役割を担っている。
●安倍政権が軍事力を増強するもう一つの理由は、世界の軍事大国への安倍自身の執念である。
*同じことは渡辺 治さんも主張しているが、支配者階級に生まれたときからどっぷりつかった安倍にしか分からない感覚である。
多くの国民、あるいは出自が低い保守政治家を含めて、みんなが感じる、彼の人間性への違和感はここにあるだろう。
これを「精神病」などと表現することは精神病者への差別を助長するので注意。
●日米安保がすぐに解消できないとすれば、日本のやるべきことは米軍基地の平等な負担しかない。
●それができないのであれば、基地のない沖縄を作る道は日本国家と対等な連邦を作るしかないのかもしれない。
●そのうえで、日米両政府と交渉する。しかしそれでも両政府が沖縄の要求を拒否し続けるなら、独立が最後の手段として浮上してくる。
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