じん肺とアスベスト症・・・講談社ブルーバックス・審良(あきら)静男「新しい免疫入門」2014/12
割と多数のじん肺の患者を20年以上診療して、なんとなくじん肺は肺がん以外のがんも多い全身病だなと感じつつ、その病態を勉強することもなく、決まりきった全身管理と書類を書くことだけには習熟してきた。
だが、一般向けの講談社ブルーバックスで審良(あきら)静男「新しい免疫入門」2014/12を見つけ、繰り返し読んでいるとはっとするところがあった。
こんなことでは、医師だと自分を名乗るのもためらわれるような気がする。
...実は、体内で結晶構造をとる物質、たとえば尿酸、アスベスト、珪酸、ベータアミロイドなどはマクロファージに食べられる。アスベストのように極端に長いものでも食べられて、食べられたあとの構造が顕微鏡で見つかって石綿小体と呼ばれるのはその証拠である。
体内で自然にできたものでも、外から持ち込まれたものでも、結晶がマクロファージに食べられることから病気が始まる。
結晶がマクロファージに食べられると、結晶は細胞内のミトコンドリアを損傷する。ミトコンドリアはもともと細胞に寄生した微生物で自分のDNAを持っている。このDNAが細胞内に飛び出してくると、もともとが異物という由来を持っているので、あたかも細菌に感染したかのように認識され、強い反応=炎症が開始されて、病気になっていく。
じん肺はこうしたアスベストと珪酸結晶が原因の病気である。
典型的なのは尿酸結晶で起こる痛風であり、尿酸が体内に自然にできることから「自然炎症」と呼ばれているが、自然ではないものでもおこるので「結晶病」とでも名づけたいくらいである。
痛風が短期間で終わるのに対して、アスベストや珪酸によるものは体内に残り続けるのでほぼ永遠に炎症を起こし続ける。
その間、全身は炎症の本態である過剰なサイトカインという化学物質にさらされ続ける。
そのため珪酸結晶ならたまねぎのように大きくなる結節ができて周囲の肺を圧迫し続けて壊すし、アスベストも繊維化という形態の破壊を続ける。かつ肺癌を主として、全身の癌化も促進される。関節リウマチなどの膠原病にもなりやすくなるのもわかる。
この辺を、ブルーバックスではなく、ちゃんとした医学書で学ばなければ行けないのだ。いまのところ、治療や全身管理の水準にには何も影響がないとしてもだ。
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