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2015年3月22日 (日)

サパタとハーヴェイ

会議の終わった後、空港の待合室でふと思いついたことを書いてみる。
子供の頃、白黒TVに多数流されていた古い外国映画の中でとりわけ印象に残るものに「革命児サパタ」というのがあった。
メキシコの悲運の英雄を主人公にしたもので今でも幾つかの場面が記憶に残っている。

最近、デヴィッド・ハーヴェイの本の中で、サパタの名前を目にした。

調べてみると、映画は1952年の作品で、監督はエリア・カザン、脚本は作家スタインベックである。思想的傾向からして子供の僕を惹きつけるにふさわしいものだったようだ。ただし、共産党員だったカザンは赤狩りの中で多くの仲間を売り、先年、アカデミー特別賞を授賞される時、会場にはブーイングが響いた。

サパタはエミリアーノ・サパタといい、実在の人物で1910年台にメキシコ革命の中で活躍し、1919年裏切り者に暗殺されている。

さて、デヴィッド・ハーヴェイはサパタをどのように評価しているか。
手元にその本がないので、正確な引用ができないが、あえて急進的に武力で政権を取ることを目指さず、その枠組みの中で彼が代表している先住民が次第に自律して行くことのできる幅広い協同の仕組みを新憲法の中に作ったことを評価している。

21世紀の革命運動の一つのモデルではないかというのである。

今、手元にある「ニュー・インペリアリズム」青木書店2005年によると、それはエヒードという名前の共有大農地制度だったようで、これによって、先住民は生活の最低保障を得ていたのである。
ところが、1991年のサリナス政権はこれを改め、私有化を奨励したところ、たちまち先住民は土地を奪われ、生活に困窮した。

日本のバブル期の地上げと同じ効果があったのである。

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