国立西洋美術館 グエンチーノ展
早朝の無理がたたって、午前中の会議はつい居眠りしてしまった。
しまったと思ううちに会議が終わり、思わぬ空き時間が訪れた。
事務局次長のKさんがちょっと相談があると言うのに救われた。このまま帰ると、結局後藤道夫名誉教授と雑談をして宿題をしたというだけの出張になるところだった。後藤さんも20年前は雲の上の人のようだったわけだから、これはこれですごいことなのだが。
Kさんとの相談はある病院が思い切ったダウンサイジングに踏み切り、初心から再スタートを試みれば、ある画期を作れるのに、過去に引きずられてそのチャンスを失い、むしろ深い危機に直面しそうだという話だった。それは自分の病院にも通じることで、対策を考えているうちに少し元気を取り戻した気がした。
それから、久しぶりに国立西洋美術館に行ってみた。国立新美術館の方にフェルメールの「地理学者」が来ているのは知っていたが、あの建物に行くのはあまり気が進まない。
こちらはグエルチーノという17世紀のイタリアの流行画家でもうすっかり忘れ去られた人の展覧会だった。先年、地震学者が予知できなかったということで訴えられた大地震で彼の作品を保存している美術館が壊れて、同じ地震国の日本に一気に貸し出されたのである。
もう誰も知らなくなってしまったような人だったが、飾りげのない普段着姿の聖母子像が良かった。母親の指に止まる小鳥が30年後の不幸を予言しているのである。
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2015guercino.html
のしたの方にその絵がある。
それから丸善にいって、高井正夫さんから教えてもらったテリー・イーグルトンの岩波文庫「文学とは何か」上下2014年を見つけて買う。
その後、4階に上がってハヤシライスを食べているのが今である。
東京の人混みが嫌でまっすぐ空港に行き、端っこで誰もいない待合室で5時間を潰していようかとも思っていたのに、一旦街中に出かけると帰るのが惜しくなってしまうのは、よほど意志薄弱に出来上がっているのである。
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